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原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正

する法律案に対する附帯決議

 

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 

一 本改正により国際規制物資使用者間での少量核燃料物質の譲渡し又は譲受け、国際規制物資使用者による少量核燃料物質の輸出入が可能となった場合、取引の増加に伴い核燃料物質の移動が活発になることが予想され、これにより少量核燃料物質の所在等の把握が煩雑になることも考えられることから、少量核燃料物質の平和的利用が担保されるためにも、国際規制物資使用者に係る計量管理の強化及び効率化の検討を速やかに行い、必要な体制を整備すること。

 

二 原子力施設の廃止措置の実行可能性を担保するため、廃止措置実施方針の定期的な見直し・更新を発電用原子炉設置者等に求めるとともに、あらかじめ適切な公表の方法を定めた上で、定期的に公表すること。

 

三 中深度処分を行う第二種廃棄物埋設施設については、放射能濃度が比較的高い廃棄物を数百年にも及ぶ長期間取り扱うことから、その間、事業者によって安定的に事業が継続されるよう、当該事業者の体制強化を図る施策の実施も含め、必要な指導・監督を行うこと。また、事業者による管理終了後に放射性物質の漏えい等が発生した場合においては、国が責任を持ってその対処に当たること。

 

四 放射性廃棄物を取り扱う埋設施設の立地選定に当たっては、有害物質であるポリ塩化ビフェニルのように、民間主導の処理の計画が頓挫したケースも過去に見られることから、立地選定及び処分が円滑に進むよう、国として立地の選定に積極的に関与すること。また、放射性廃棄物の埋設の事業を円滑に実施するためには立地自治体及び地元住民の協力が欠かせないことから、事業者と立地地域の合意形成が進むよう、国も積極的に働きかけていくこと。

 

五 指定廃棄物埋設区域制度の創設に伴い、発電用原子炉及び試験研究炉施設の規制基準策定に向けた検討が今後進むこととなる一方で、再処理施設等から生ずる放射性廃棄物など、炉内等廃棄物以外の放射性廃棄物の中深度処分についてはこの検討の対象とされていないことから、当該廃棄物に係る規制基準についても早急に検討を進め、その結果を国民に分かりやすく、丁寧に説明すること。

 

六 今回の原子力事業者等に対する検査制度の見直しは、国際原子力機関による総合規制評価サービスの指摘や福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえたものであることから、見直し後の検査制度に基づく取組状況について、国民に分かりやすく説明するとともに、国会に定期的に報告すること。

 

七 原子力事業者等の保安活動全般を包括的に常時監視・評価するに当たっては、その具体的な方法をマニュアル等で明確化するなどにより十分な体制を整備すること。特に、この検査制度の運用においては高い能力が検査官に求められることから、その能力向上のための必要な措置を講じること。

 

八 放射性同位元素、放射線発生装置及び核燃料物質等は、研究機関、大学、医療機関、民間企業等において幅広く使用されており、多様な放射性廃棄物が発生している状況にあることから、これらの施設を所管する関係各法律においても、早期に処理・処分の合理化に係る規定を整備すること。

 

九 特定放射性同位元素防護規程の届出制度が創設されるに当たり、放射線障害予防規程との内容の重複等により、事業者からはセキュリティとセーフティの内容が重複し混乱を来すのではないかとの懸念が示されていることから、事業者に対し過度な負担を強いることとならないよう制度を構築すること。

 

十 防護措置の対象となる血液照射装置は現在では使用されなくなってきているものの、同装置を廃棄するには多大な費用がかかり、廃棄されずに各施設に保管されている状況にあること等を踏まえ、防護措置が義務付けられることとなる装置の廃棄に対し、必要な支援策を検討すること。

 

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