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絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対する

附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

一 種の保存に関する科学的知見の充実を図り、それに基づいて、「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」(以下「保全戦略」という。)を始め、総合的な施策を策定・実施すること。

二 「保全戦略」は海洋生物を含めて策定すること。また、「保全戦略」は、種の指定の考え方や進め方を示す、大胆かつ機動性の高いものとすること。

三 「保全戦略」に希少野生動植物種の指定に関する国民による提案の方法及び政府による回答の方法等を明記すること。

四 改正法施行後三年の見直しに向けて、以下の取組を行うこと。

1 「保全戦略」を法定計画とし、閣議決定することを検討すること。

2 種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護管理計画などを勧告する、専門家による常設の科学委員会の法定を検討すること。

3 希少野生動植物種等の指定に関して、国民による指定提案制度の法定を検討すること。

4 国際希少野生動植物種の個体等の登録制度において、個体等識別情報をマイクロチップ、脚環、ICタグ等によって全ての個体等上へ表示するとともに、登録票上へもICタグ等により表示することによって、登録票の付け替え、流用を防止する措置、並びに登録拒否、登録の有効期間の設定及び登録抹消手続の法定を検討すること。

五 希少野生動植物種等の指定は、科学的知見を最大に尊重して実施することとし、当面、二〇二〇年までに三百種を新規指定することを目指し、候補種の選定について検討を行うこと。そのため、中央環境審議会自然環境部会の野生生物小委員会において、種の指定の考え方や候補種の選定等について議論を行い、その結果を尊重すること。また、同小委員会の委員については、国民の理解を得られる人選を行い、自由闊達な議論を保障するとともに、明確な理由の存在しない限り、国民に対する情報の公開を徹底すること。

六 生物多様性基本法第八条「政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない」を踏まえ、希少野生動植物種の保存のため、地方自治体への支援を含め、財政上、税制上その他の措置を講ずること。

七 生物多様性基本法第二十四条、改正法第五十三条第二項に則り、種の保存に関し、最新の科学的知見を踏まえた学校教育・社会教育・広報活動、専門的な知識・経験を有する人材の育成、種の保存に関して理解を深める場及び機会の提供等により、種の保存に関する国民の理解を深めること。

八 改正法附則第七条に基づき、改正法施行後、速やかに、今回の改正内容のみならず、種の保存法全体について見直しを開始し、改正法施行三年後に速やかに必要な措置を講ずること。

九 中央環境審議会は、環境大臣の諮問を待たず、種の保存に関連して、前項の種の保存法の見直しやその他関係法令の見直しを含め、積極的に意見具申を行うこと。

十 海洋生態系の要となる海棲哺乳類を含めた海洋生物については、科学的見地に立ってその希少性評価を適切に行うこと。また、候補種選定の際、現在は種指定の実績がない海洋生物についても、積極的に選定の対象とすること。

十一 近年、地球温暖化に伴う急激な気候の変化によって、ホッキョクグマ、サンゴなどの種や生態系への影響が世界的に顕著になり始めていることに鑑み、我が国政府は、カンクン合意を踏まえつつ、低炭素社会に向けての新たな世界的な枠組みの構築のため、二〇二〇年からの実施を目指し法的文書の合意を二〇一五年までに得ることについて、リーダーシップを発揮すること。

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