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電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 

一 再生可能エネルギーについて、国民負担を抑制しつつ、持続的かつ最大限の導入を進めていくとともに、中長期的には固定価格買取制度に依存しない自立的な導入を目指すため、既存の再生可能エネルギー発電設備の高効率化・低コスト化や、新たな再生可能エネルギー源利用に向けた技術開発・実用化支援、更には規制改革等の環境整備に総合的に取り組むこと。また、今後のエネルギーミックス及び温室効果ガス削減目標の見直しに当たっては、こうした取組の成果を的確に反映すること。

 

二 入札の実施については、経済産業大臣の判断基準を明らかにし、調達価格等算定委員会で入札が適当と判断するに至った審議経過を明らかにするとともに、まずは対象を大規模太陽光発電に限定し、入札の効果に関する検証を行った上で、その結果を公表すること。また、地域主体の事業者など幅広い事業者が応札することができるよう運用の工夫を行うこと。

 

三 我が国の国際競争力の強化を図る観点から、電力多消費産業への賦課金減免制度を確実に維持し、真に必要な産業が現行と同様の措置を受けられるよう制度設計を行うこと。

 

四 再生可能エネルギー発電事業の適正な実施を担保するため、既に運転開始している案件も含め、地方自治体とも連携しつつ、安全規制や立地規制などの他法令の遵守の徹底や認定情報の公開に取り組むこと。特に、太陽光発電設備については、安全上の問題に対処するため、認定基準や関係法令の遵守状況等の観点で不適切な事業者に対しては認定の取消等、厳正に対処すること。また、安全管理上の事故が発生している太陽光発電設備の保安規制については、公衆安全並びに作業安全を確保する観点から強化を図ること。

 

五 風力や地熱、中小水力、バイオマスといったリードタイムの長い電源については、導入が十分に進んでいないことから、実態を踏まえた上で、複数年度にわたる買取価格の設定を行うとともに、環境アセスメントの短縮化などの規制改革、送配電事業者への系統接続の早期化などの環境整備に取り組むこと。

 

六 電力系統の整備のあり方や費用負担については、系統整備コストの負担に留意しつつ、諸外国の取組を参考に更なる検討を行っていくこと。さらに、再生可能エネルギーの効率的な導入の観点から、地域間連系線運用ルールの見直しや系統利用情報の随時開示も含めた更なる開示等の検討を行うこと。また、系統への接続について、経済産業省と電力広域的運営推進機関が適切な監視を行うとともに、再生可能エネルギー発電事業者に対する不当な接続拒否が発生しないよう基準を明確化すること。

 

七 再生可能エネルギー発電事業者の予見可能性を確保する観点から、国が出力制御の運用についての考え方を示すとともに、出力制御の状況について監視し、適切な情報開示を行うこと。

 

八 再生可能エネルギーの最大限導入に加え、分散型エネルギーの導入促進や地域活性化への貢献の観点から、再生可能エネルギー熱、未利用熱の利用への支援や、自治体による分散型エネルギーシステムの構築に向けた取組の支援を抜本的に強化すること。

 

九 新たな認定制度への移行に当たって、旧認定の取消や失効を含めた認定判断はすべて政府の責任において行うものであることに鑑み、関係事業者及び国民各層に対し、改正内容の説明を丁寧に行うこと。また、買取義務者の変更に当たっては、経過措置により新旧制度が併存されることに伴う関係事業者の負担に配慮すること。

 

十 今後の固定価格買取制度の詳細設計や運用に当たっては、公平な競争環境の確保を図るとともに、再生可能エネルギーの増加と電力安定供給の確保を両立するため、調整電源の固定費回収等の課題について検討を進めること。

 

十一 二〇一九年十一月以降に買取期間が終了する住宅用太陽光電源については、当該電源が、エネルギー供給の一翼を担う自立した電源として長期安定的な発電を継続していくことができるよう、必要な措置の検討を進めること。

 

十二 今後の再生可能エネルギーの導入拡大の下で、エネルギー間の公平な競争環境を確保する観点から、再生可能エネルギーの導入がエネルギー自給率の向上や環境負荷の低減など国民全体の利益につながる点を勘案し、電気の使用者のみが費用を負担するのではなく、広く負担することも含め費用負担の在り方等について検討を進めること。

 

十三 本制度を導入した諸外国においても、近年は課題が顕在化する都度、適宜、制度見直しを行うことで国情に応じた再生可能エネルギーの支援制度になるよう努めており、我が国においてもエネルギーミックスの達成状況も確認しながら、不断の検証を行い、必要に応じた見直しを行うこと。

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