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産業競争力強化法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 

一 産業競争力の強化は、民間の自発的な取組によって行われるべきものであり、民間の活力を最大限支援するための環境整備を行うこと。また、企業収益の改善が雇用増大、賃金上昇及び消費拡大につながる好循環を安定的に生み出していくために、成長戦略を着実に実行するとともに、不断の見直しを行うこと。

 

二 株式会社産業革新投資機構については、ガバナンスを適切に機能させて支援対象の審査を継続的かつ厳格に実施し、モニタリング体制の強化について不断の見直しを行うこと。あわせて、出資先に対するハンズオン支援の強化により企業価値の向上に努め、国富の増大に結び付けるとともに、優秀な民間の目利き人材や投資プロフェッショナルの十分な確保及びその積極的活用を図り、オープンイノベーションの促進に向けて民間リスクマネーを誘発するべく適切な運営を行うこと。また、ベンチャー企業への支援については、投資決定の迅速化を図り、円滑な資金供給に努めるとともに、出資の保全・回収が確保されるよう努めること。

 

三 株式会社産業革新投資機構が、いわゆる他の官民ファンドである特定政府出資会社の株式を譲り受けるに際しては、整理統合によるコスト削減等の合理化に努めるとともに、当該官民ファンドが本来持つ政策課題の実現を図るべく投資案件の選定が適切に行われていることを検証し、適切な成果目標を定めた上で、積極的な情報開示により投資実績の透明性向上に努めること。

 

四 国際競争が激化するとともに、人口減少に伴い国内市場の縮小が進む中では、国内外の事業再編による新陳代謝を幅広く進め、産業競争力の強化を図ることが重要であることに鑑み、必要な支援措置を適切に実施し、事業再編の円滑化に向けて総合的な支援を行うこと。

 

五 事業再編計画及び特別事業再編計画について、計画に伴う失業の予防、労働条件の確保等雇用の安定に万全を期するため、計画の作成に当たり、事業者が労働組合等と協議により十分に話し合いを行い、また、計画の実施に際して、事業者が雇用の安定等に十分な配慮を行うことを確保することにより、労働者の雇用の安定に最大限の考慮を払いつつ当該計画が実施されるよう、厳に適切な運用を行うこと。

 

六 創業支援について、従前の施策が必ずしも十分な成果を上げられなかったことに対する検証を行い、大企業と比べて十分な経営基盤を構築することができないベンチャー企業がその成長過程に応じた支援を受けられるよう、資金、経営ノウハウ、人材確保等、多方面に亘る支援の仕組みを構築し、多様な主体が有機的に連携して好循環を生み出すベンチャー・エコシステムの形成に努めること。

 

七 国立大学法人等における研究活動の活性化と研究成果の活用の促進を図るため、大学の研究成果であるイノベーションや技術シーズを効果的に事業活動につなげていくこれまでの実態を踏まえつつ、資金供給の拡充に加え、経営や営業面での資質を有する経営人材の確保及びそれらを補う存在としての外部ネットワークの活用も含めた総合的な支援体制の整備に継続的に取り組むこと。また、当該大学のみならず他大学や企業との連携を積極的に図ることにより、オープンイノベーションの促進に努めること。

 

八 中小企業の経営課題が複雑化する中、認定経営革新等支援機関及び認定情報処理支援機関が、中小企業に対する経営支援を強化し、支援の質の向上を図ることができるよう、支援機関相互の情報交換や協力体制強化を促進するとともに、中小企業の生産性の向上につながるよう、支援機関に対する人的・資金的支援の拡充に努めること。

 

九 事業承継については、経営者の高齢化が進む中で喫緊の課題であることに鑑み、事業承継五ヶ年計画を前倒しで実施するなど、総合的な取組を加速化させるとともに、円満な廃業に向けた環境整備を行うこと。

 

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