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   原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

  

 政府は、本法の施行に当たり、以下の点に留意すること。

 

一 原子力損害賠償支援機構法制定時に国会修正によって追加された、原子力損害の賠償に関する法律の改正等の抜本的な見直しをはじめとする必要な措置(附則第六条第一項)、及び、本法の施行状況を踏まえ講ずるものとされる必要な措置(附則第六条第二項)に係る検討条項に関し、制定時の附帯決議の趣旨に鑑み、早急に結論を得るよう更に検討を進めること。

 

二 福島第一原発事故発生後三年を経て、なお完了まで時間を要するとされる東京電力による被災者への損害賠償に関し、本年一月に認定された新・総合特別事業計画に従い、損害賠償の確実かつ迅速な実施を可能とするための万全の支援措置を講ずること。

 

三 平成二十五年十月の会計検査院報告を踏まえ、私募債を利用する東京電力の資金調達形態に関しては、利害関係者の責任の明確化の観点から、新・総合特別事業計画で示された方針に沿って、可能な限り早期にこの形態によらないこととするよう指導・監督すること。また、将来、同事業計画に基づいて機構が東京電力株式の売却等によりその議決権の段階的な低減を実施していくに当たっては、東京電力による福島第一原発の廃炉作業の実施状況やそのための体制整備の在り方に関し、機構の運営委員会及び廃炉等技術委員会による適切かつ十分な検証・評価を踏まえて進めるものとすること。

 

四 機構による廃炉関係業務の実施に関し、学術的・技術的信頼性のみならず社会的な信頼性も確保されるよう、廃炉等技術委員会には、委員への登用の検討を含め、国内の原子力関連業界等から独立性を保ち、かつ優れた実績を有する海外の研究者・技術者の積極的な参画を図ること。一方、機構に設置される予定の廃炉部門の人員の採用に当たっては、国内の叡智を結集する観点から、広く政府系研究機関や原子力事業者、原発機器メーカー等の関連する専門人材を招聘し、我が国における廃炉に係る人材・技術の集約を図ること。

 

五 機構の業務に「廃炉等に関する情報の提供」が追加されることに伴い、機構は、廃炉関係業務の実施を通じて集積される技術及び知見が内外の原子炉の廃炉に際して積極的に活用されるための体制を整備すること。また、損害賠償支援業務に係るものも含め、その業務に関し内外に対してこれまで以上に適時適切な情報の公開を進めること。

 

六 福島第一原発において現在に至るまで汚染水の漏洩が相次ぎ、収束の兆しが見られない状況について、政府は、早急かつ確実に汚染水を封じ込む環境が達成できるよう、東京電力に対して厳しく指導監督を行うとともに、国費を投じて実施する遮水壁の構築等の施策を迅速かつ確実に行うこと。

 

七 政府及び機構は、東京電力が自らの責任において福島第一原発の廃炉作業を確実に実施することができるよう、報告徴収権限等の行使を通じて作業の進捗状況及び作業員の作業環境に関する適時適切な状況把握に努めるとともに、高線量下の作業であるという特殊な労働環境を踏まえ、関係省庁と機構との十分な連携・協力により、現地労働基準監督署の職員の増員等、現場作業員の労働環境及び就労条件の改善が達成されるための監督体制の拡充強化を図ること。

 

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