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     化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

  政府は、産業の基盤であり国民生活において極めて広範に使用されている化学物質の安全性を確立することが国民の生命や環境の保護に不可欠であり、かつ、我が国産業の国際競争力の一層の強化につながることから、その管理・規制に関する体制の整備を図ることが重要であることにかんがみ、本法施行に当たり、次の諸点について適切に措置すべきである。

 

一 二〇二〇年を期限とする国際合意の確実な履行に向けて、本改正案による規制強化措置が、事業主のみならず国民全般からの理解を得て円滑かつ着実に実施されるよう、国の責任と具体的な作業スケジュールを明らかにするとともに、調査研究や検査・監督に万全を期するよう体制の整備や十分な予算の確保に努めること。

  また、合意の履行に当たっては、先進国間における情報の一元化等に努めるとともに、アジアをはじめとする関係各国ともその実施スキームの確立や登録情報の共有を図るなど、国際的な協調の下に対策を推進し、本法に基づく化学物質管理スキームが事実上の国際標準として受け入れられるよう努めること。

 

二 化学物質のスクリーニング評価に当たっては、化学物質に対する感受性の高い胎児、乳幼児及び高齢者等への直接曝露及び環境曝露を十分に勘案し、詳細な曝露関連情報の提供を事業者に求めること。また、生態影響評価の重要性を踏まえた評価手法の確立及び効率的なデータ収集のための技術開発等に努めること。

 

三 化学物質のリスク評価に当たっては、その透明性及び客観性を確保する観点から、評価計画、評価結果等を公開するとともに、評価の審査等には多様な主体を参加させる等の体制を整備すること。また、政府の行ったリスク評価の妥当性を審査する外部委員会を用いて行うこと。

 

四 事業者による自主的な化学物質のリスク評価及び管理を推進するために、低コストで実施できるリスク評価手法の開発・普及を図るとともに、データ収集に係る作業の定量化等、事業者の負担軽減に努めること。また、規制の実効性を確保するため、中小企業がこれに円滑に対応できるよう、新たなスキームの十分な周知徹底に努めるとともに、効果的な支援策の実施を検討すること。

 

五 化学物質の適切な管理を一層促進するため、化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)に基づく表示、化学物質の安全性情報、リスク評価結果及び管理手法等について、川上事業者から川下事業者に至るまで情報の伝達及び共有ができるようにすること。また、消費者への理解を促進するため、化学物質に関する安全性情報の製品表示等について検討すること。

 

六 「エッセンシャルユース」として認められた化学物質については、必要最小限の利用にとどめ、定期的に厳密な評価を行いその結果を公表するとともに、事業者に対し代替化及び低減化に向けた取組を促すこと。

 

七 事業者による自主的な化学物質管理を推進するため、化学物質管理を担える人材の育成及び研究機関の充実に努めること。また、大学及び大学院における定量的構造活性相関(QSAR)の手法、計測、リスク評価及び管理に関する専門家育成の検討に加え、学校教育における化学物質に関する教育内容の見直しを図ること。

 

八 化学物質による人の健康や生態系への悪影響を未然防止するために、予防的な視点に基づき、懸念のある化学物質については、科学的知見が集積されるまでの間、厳格な曝露管理または代替の検討を事業者に促すこと。

 

九 化学物質の適正な利用及び化学物質によるリスクの低減に関する長期的、計画的な施策を推進するに当たっては、関係省庁間の連携を図りつつ、事業者の負担の軽減及び消費者の化学物質に関する理解の促進に資するよう、化学物質に関する総合的、統一的な法制度等のあり方について検討を行うこと。

 

 

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