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   医療法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、安全で適切な医療提供体制を確保するため、本法の施行に当たり、次の事項に万全を期すべきである。

一 検体検査の品質・精度管理の具体的な基準の策定に当たっては、医療従事者及び患者にとって信頼に足るものであるよう、拙速に行うことなく慎重に検討を重ね適切に設定すること。遺伝子検査ビジネスについては、医療に関する分野も多く、消費者の期待もあるため、実態把握に努め、対応を早急に検討するとともに、検体検査以外の臨床における検査の基準についても医療従事者及び患者にとって信頼に足るものであるよう、品質・精度管理について、学術団体等の作成するガイドライン等に対し、国としても必要があれば関与し、検討を加えること。

二 遺伝子関連検査など検体検査の分類を策定するに当たっては、医療法の適用範囲に含まれるものを明確にするとともに、今後の検査技術の研究の進展により新たな検査が生じた場合も遅滞なく検査の安全性等の評価を行い、品質・精度管理についての基準を設けるよう努め、必要に応じてその結果を受けてのカウンセリングへのアクセスの確保を実現するよう体制を整えること。

三 遺伝子関連検査を含む検体検査及びその他の検査において得られた情報の管理に当たっては、医療機関内はもとより、衛生検査所等で必要な措置が講じられるよう施策を講ずること。とりわけ、情報の管理を行う機関の廃業等の場合には情報の流出等を来さないようとりわけ注意を払うよう万全の措置を講ずること。

四 特定機能病院におけるガバナンスについては、開設者と管理者の独立性の確保のみならず、医療安全及び医療の質の確保に向けた管理者の権限が発揮される体制が構築されるよう検討するとともに、大学病院の診療と教育機能の関係性の課題についても検討を加えること。

五 高難度新規医療技術を評価するに当たっては、特定機能病院において制度制定及び運用状況のみならず、実施状況、安全性・有効性の評価状況について把握するとともに、特定機能病院以外における取組状況の把握に努めること。

六 改正法第十九条の二に定める事項について、特定機能病院以外の医療機関にも適用することについての適否を検討するとともに、実施する医療機関に対する支援措置を考慮すること。

七 特定機能病院の承認の取消しを受けた医療機関の再承認に当たっては、再発防止対策はもとより、ガバナンスの強化や、医療事故当事者の心情に十分配慮し真摯に向き合う相談体制の構築等の承認要件への対策の状況について十分に確認し、検討をすること。

八 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会とりまとめにおいて広告可能事項を限定すると医療情報の提供促進に支障が生じるとされたことに鑑み、医療機関のホームページについて、広告可能事項の限定の解除要件を検討するに当たっては、過度な規制とならないよう留意すること。

九 医療情報の提供を促進し患者の選択を支援する観点から、適正な情報発信が阻害されることのないよう十分な移行期間を確保するとともに、ホームページの適切事例及び不適切事例等を具体的に示すなどその支援を行いつつ、客観的事実に基づく比較や体験談等の扱いについて医療機関ホームページにおける広告規制の在り方について検討を加え必要な措置を講ずる一方、医療広告の禁止事項とその解釈の安易な拡大がなされないよう必要な措置を講ずること。

十 柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等のホームページを新たに規制強化する場合には、患者の選択に役立つ十分な情報提供ができるよう配慮すること。

十一 美容医療における痩身や美白や脱毛を始めとした全身美容術を業となす者と提携した悪質な事案の実態の把握に努め、必要な措置を講ずること。

十二 持分あり医療法人の持分なし医療法人への移行については、法人運営の適正性要件の設定に当たっては安易な要件とならないよう他の法人とのバランスを考慮しつつ設定するとともに、移行に係る課題の調査を引き続き進め、必要な措置の検討を行うこと。

十三 病院及び診療所等の開設者の経営の適正さを確保するため、医療法人以外の法人及び個人の経営状態を把握する方法の検討を行い、適正な医療が継続して提供できるよう必要な措置を講ずること。

十四 助産所と医療機関との連携については、助産所、医療機関双方の負担に十分配慮しつつ、適正に連携が図られるよう支援をするとともに、分娩方法に関する情報の把握に努め、妊産婦等への適切な情報提供について検討すること。

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