衆議院

メインへスキップ



   雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一 失業時の生活保障及び早期再就職の支援を一層推進するため、特定受給資格者に限らず失業等給付の給付改善に向けた検討を行うこと。その際、特定理由離職者に係る所定給付日数を拡充する暫定措置については、恒久化も含めて今後の在り方を検討し、必要な措置を講ずること。

二 拡充された教育訓練給付等については、真に訓練を必要とする非正規雇用労働者等に活用されるよう、その内容を十分に周知し、利用勧奨を図ること。

三 雇用政策に対する政府の責任を示すものである雇用保険の国庫負担については、改正後の雇用保険法附則第十五条の規定に基づき、早期に安定財源を確保し、本則に戻すこと。また、今回の時限的な国庫負担率の引下げについては、平成三十一年度までの三年度間に厳に限った措置とすること。

四 雇用関係助成金に生産性要件を設定するに当たっては、生産性要件を設けることが適当である助成金のみに限定すること。また、生産性要件を設けた助成金については、生産性要件を充足するために人員削減、長時間労働等を招くことがないよう支給要件を厳格にすること。

五 いわゆるマルチジョブホルダーについては、雇用保険の適用に向けて、早期に専門家による検討を行い、必要な措置を講ずること。

六 労働保険特別会計及び労働保険特別会計より出資を受けた独立行政法人の財産の管理及び処分に当たっては、国有財産法に基づく適正な管理及び処分の原則を徹底するとともに、特に売却による処分については、公平公正な評価に基づいた、近傍類似の財産価額等も考慮した適正な価額での処分を行うよう努めること。

七 当初の労働条件を変更しようとする場合等に変更内容等の明示義務を課すことについて、求職者がその内容を十分に認識し、理解することができるよう、求人者に対して適切な明示方法を指導するとともに、求職者に対して確認すべき労働条件等について啓発を行うなど、制度の周知に万全を期すこと。

八 募集情報の適正化が図られるよう、募集情報等提供事業を行う者に対し、改正後の職業安定法の規定及び今後定められる指針に基づき、的確な指導を行うこと。また、本法の施行状況を踏まえ、不適正な募集情報等提供事業を行う者に対する規制強化について検討すること。

九 求人申込みの不受理の対象に、職業安定法に基づく勧告又は改善命令を受け、これに従わずに公表された者からの求人を追加することについて検討すること。

十 待機児童の解消策については、本来、保育サービスの拡充を先行すべきであることを踏まえ、保育所等の整備及び保育士の確保をより一層推進するとともに、労働者が職場復帰を希望する時期に安心して子を預けることができる保育環境の整備を行うこと。

十一 本法の施行後二年を目途として、育児休業制度の対象となる労働者等への事業主からの個別周知の有無を調査すること。また、本法の規定に基づく検討においては、男性の育児休業取得率が依然として低いことに鑑み、利用率の低いパパ・ママ育休プラス制度の活用促進に向けた改善措置を講ずるとともに、父親に一定期間の育児休業を割り当てるパパ・クオータ制の導入に向けて検討すること。

十二 育児休業を取得した労働者のキャリア形成が阻害されることのないよう、育児休業中の労働者に対して、職場復帰に向けた情報や労働者の希望に応じた能力開発の機会を提供するなど、能力及び意欲の維持・向上のために積極的な支援を行うことを事業主に促すこと。

十三 技能・経験に応じた保育士等の処遇改善を確実に給与に反映させる仕組みを構築するとともに、保育所に対する指導監査が実効性あるものとなるよう、地方公共団体の体制整備に向けた支援策を講ずること。

十四 私立保育所への委託費に係る公定価格の積算根拠となる福祉職俸給表の級号俸で示される給与格付けについて、保育士の職務内容に見合った処遇を確保する観点から改善すること。

十五 勤続年数等に応じた給与水準の実態を把握し、保育士等が長年働き続けることでメリットが大きくなるような方策を検討すること。

十六 公立保育所の非正規雇用労働者の処遇改善に向けた取組を一層推進すること。

十七 骨髄移植等の推進を図るためドナー休暇制度の法制化に向けて検討を進めること。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.