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独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 

一 政府は、給付型奨学金制度を継続的かつ安定的に運用できるよう、必要な財源の確保に努めるとともに、基金に対し個人及び企業等からの寄附が促進されるよう、教育資金に係る寄附文化の醸成に向けた広報活動や税制改正の検討に努めること。

 

二 高等教育機関へ進学を希望する者に対し、教育を受ける機会が均等に確保されるよう、給付対象の拡大及び給付額の増額に向けた検討に努めること。また、給付対象の大学院生への拡充についても検討に努めること。

 

三 政府及び機構は、学生・生徒、保護者及び学校関係者等へ丁寧な説明を行い、貸与型奨学金制度を含めた奨学金制度全般の周知徹底に努めること。また、スカラシップ・アドバイザー事業(仮称)が十分な効果を発揮するよう、積極的な支援を行うこと。

 

四 政府は、各学校が推薦を行うに当たり、公平性・公正性が保たれ、推薦を受ける当該生徒のプライバシーや名誉が守られるよう、各学校現場に対し必要な支援を行うこと。

 

五 国立大学に進学した者が授業料減免を受けた場合の「給付額の調整」による減額については、給付型奨学金制度の「進学の後押し」という制度趣旨が没却されないよう、受給者の経済事情等に十分配慮して行うこと。

 

六 機構は、給付型奨学金制度の創設に伴い業務量の増加が見込まれる中においても同制度が円滑に実施されるよう、その体制の整備に万全を期すこと。

 

七 給付を廃止し、又は返還をさせる場合については、その判断基準や具体的な実施方法をあらかじめ明確にするなど、学生ができるだけ安心して学業に専念できるよう、慎重な運用を行うこと。

 

八 政府は、本法附則第四条による施行後五年の見直し時期以前であっても、必要に応じて給付型奨学金制度の在り方について検討を行い、必要があると認める場合には、早期に対応を図るよう努めること。また、見直しに際しては、検討過程に関係者の参画を図るとともに、情報公開の充実に努めること。

 

九 教育を受ける機会を保障するという奨学金の制度趣旨に鑑みれば、貸与型奨学金制度は無利子であるべきことを踏まえ、有利子奨学金が事業費・貸与人数ともに無利子奨学金を上回っている現状を改善し、有利子から無利子への流れを更に加速すること。

 

十 平成二十九年度から導入される新たな所得連動返還型奨学金制度については、より柔軟な制度設計に向けた更なる制度の見直しを行うとともに、有利子奨学金への適用の検討を加速化し、その実現に努めること。また、既に返還を開始している者に対する返還猶予制度等の救済制度の改善にも併せて努めること。

 

十一 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」において、我が国が平成二十四年に留保を撤回した「無償教育の漸進的な導入」の実現に向け、政府は、高等教育段階の無償化を視野に入れた教育費の負担軽減策に取り組むこと。

 

十二 我が国が引き続き成長・発展を持続するためには、未来への先行投資である教育の充実が何よりも重要であることに鑑み、政府は、給付型奨学金制度の創設を契機として、教育費負担の在り方について、地方公共団体、学校関係者及び企業等と一体となって検討を行い、国を挙げて次世代を担う人材の育成に努めること。

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