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   農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案に対する附帯決議

 

 我が国では、人口減少や高齢化を背景に、今後国内の食市場は縮小する一方、世界に目を転じると、アジアを中心とした新興国では経済成長、人口増加が進んでおり、世界全体の食市場は大きく拡大するものと見込まれている。また、我が国の農林水産物・食品は、安全でおいしいと諸外国から高い評価を受けており、農林水産物・食品の輸出額は昨年まで六年連続で過去最高を更新している。こうした中、世界の食市場の更なる獲得に向けては、成長著しいアジア諸国のみならず、富裕層を擁する欧米の大市場も重視した、一層、戦略的・積極的な取組が必要である。

 しかしながら、輸出先国政府による食品安全、動植物検疫上の規制が我が国の農林水産物・食品の輸出拡大の障害となる事例があることに加え、一部の国・地域が平成二十三年の原発事故に伴う輸入規制措置を依然として実施しているなど、厳しい課題にも直面している。

 よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

                 記

一 農林水産物・食品輸出本部が輸出促進を担う司令塔組織として十分に機能するよう、実効ある組織体制を整備すること。

二 流通の広域化や国際化が進む中で、日本産農林水産物・食品のブランド力を維持・向上し、競争力を強化していくため、GAP認証等、世界の食市場において通用する認証を取得しようとする取組を更に推進すること。

三 食品・農林水産物等の輸入条件としてHACCPの取組を求める動きが世界的に広がっている現状を踏まえ、HACCPの導入等に取り組む事業者に対し、その事業規模に即したきめ細かな支援措置を実施すること。

四 我が国の地理的表示や地名の海外における不正使用や、第三者による商標登録、植物新品種の海外流出が行われないよう、適切に対応すること。また、農林水産業の輸出力強化に向け、知的財産の戦略的活用に取り組むこと。

五 和牛は関係者が長い年月をかけて改良してきた我が国固有の貴重な財産であり、不正に外国に持ち出されたり、使用されたりすることのないよう、流通管理の在り方や知的財産としての遺伝資源の保護の在り方について、法整備も含めた検討を加速すること。

六 原発事故に伴う輸入規制措置の緩和・撤廃に向けて、政府間交渉に必要な情報・科学データの収集・分析等を十分に行い、諸外国・地域に正確な情報を提供した上で、科学的根拠に立った対応を引き続き強く要請すること。

七 昨年九月に国内において二十六年ぶりに発生した豚コレラについて、その発生及び感染拡大の原因を徹底的に究明・分析した上で、あらゆる手段を行使し、将来の輸出拡大も見据え、一刻も早い事態の終息に努めること。

八 農林水産物・食品の輸出促進に取り組むに当たっては、農林漁業者の経営の安定と所得の向上、農山漁村の活性化に資するよう、十分留意すること。

右決議する。

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