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   農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議

 

 我が国の農業・農村の現場を取り巻く状況が厳しさを増す中、これを克服し、本来の活力を取り戻すべく、六次産業化等による高付加価値化、輸出も視野に入れた需要の開拓、担い手への農地の集積・集約化等を通じた農業の成長産業化を推進し、その成果を着実にあげていくことが喫緊の課題となっている。

 そのためには、地域の農協が、地域の農業者と協力して農産物の有利販売・生産資材の有利調達等に創意工夫を活かして積極的に取り組むとともに、農業委員会が、その主たる使命である農地利用の最適化をより良く果たし、農業者の更なる経営発展を促すことができる環境を一体的に整備することが必要不可欠である。

 よって政府は、本法の施行に当たっては、左記事項の実現を図り、農政改革の推進に万全を期すべきである。

                記

一 農協改革の最大の目的である農業所得の増大のための農産物の有利販売・生産資材の有利調達が確実に達成されるよう、改革の趣旨に沿った自主的な取組を促進すること。

二 農協の理事構成及び農業委員の構成に係る農林水産省令の制定に当たっては、制度の趣旨を踏まえつつ、組織・運営の自主性・自律性を最大限尊重し、関係者の意向や地域の実態を踏まえた適切なものとなるように配慮すること。農協の理事構成の見直しが着実に行われるようにすること。

三 准組合員の利用の在り方の検討に当たっては、正組合員・准組合員の利用の実態などを適切に調査するとともに、地域のための重要なインフラとして農協が果たしている役割を十分踏まえること。農業生産法人の要件の見直し及び農協の准組合員の利用の在り方の検討については、速やかに進めること。

四 農協の組織変更は、選択であることを徹底するとともに、株式会社への組織変更については、省令において定款に株式譲渡制限ルールを明記するよう措置すること。

五 地区重複農協の設立については、今回の法改正で完全に自由となるが、これを踏まえて、農業者の選択により、複数の農協のサービスが利用できる状況が生まれるように配慮すること。

六 農協・全農等は、経済界との連携を強化し、農業・食品産業の発展に資する経済活動を積極的に行うようにすること。

七 農林中央金庫及び都道府県信用農業協同組合連合会は、担い手等の新しい資金需要に適切に応えられるよう農業融資に積極的に取り組むこと。

八 全中監査から公認会計士監査への移行に当たっては、配慮事項が確実に実施されるよう、関係者の協議を踏まえ、万全の措置を講ずること。

九 今回の農協改革に伴い、税制に関して万全の措置を講ずること。

十 農協系統組織は、その構成員のための組織であるという原点を踏まえ、協同組合に対する誤解を惹起することのないよう、その事業の実施に際しては、あらゆる面で公平・公正な運営に努めること。

十一 農業委員の任命、農地利用最適化推進委員の委嘱及びそのための推薦・公募等について、適正な手続により公正に行われるようにすること。また、農業委員及び新設される推進委員について、その業務を適切に遂行できるよう十分な定数を確保するとともに、農業委員及び推進委員の報酬について、業務に見合う適切な水準となるよう十分な予算の確保を図ること。

十二 公共性の高い農地の集約や権利移動に関する農業委員会の決定は、高い中立性と地域からの厚い信頼を必要とすることに鑑み、農業委員の公選制の廃止に当たっては、地域の代表性が堅持されるよう十分配慮すること。

十三 農業委員会の改革により、農業委員と農地利用最適化推進委員の役割分担の明確化を図った上で、農地中間管理機構との連携が強化され、担い手への農地利用の集積・集約化を加速するとともに、耕作放棄地の発生防止・解消等が効率的・効果的に推進されるようにすること。

十四 農業委員及び農地利用最適化推進委員の資質向上のため、研修の機会を確保するとともに、事務局体制の整備強化を図ること。

十五 市町村長と農業委員会は、密接に連絡し、人と農地の問題の解決など地域農業の発展に責任を持って取り組むようにすること。

右決議する。

 

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