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農地法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、生産資源であり地域資源である農地の確保と望ましい主体による農地の有効利用を通じ、我が国の食料自給力の強化に資する農業構造の確立と農村の振興が図られるよう、左記事項の実現に万全を期すべきである。

              記

一 我が国農業は、家族経営及び農業生産法人による経営等を中心とする耕作者が農地に関する権利を有することが基本的な構造であり、これらの耕作者と農地が農村社会の基盤を構成する必要不可欠な要素であることを十分認識し、農地制度の運用に当たること。

二 新農地法第二条の二に規定する農地について権利を有する者の責務の考え方については、次のとおりとし、その周知徹底を図ること。

1 農地について所有権を有する者は、当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保することについて第一義的責任を有することを深く認識し、自ら当該農地を耕作の事業に供するとともに、自らその責務を果たすことができない場合においては、所有権以外の権原に基づき当該農地が耕作の事業に供されることを確保することにより、当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならないものとすること。

2 農地について賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する者は、その権利に基づき自ら当該農地を耕作の事業に供することにより当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならないものとすること。

三 新農地法第三条第二項第七号の許可の基準は、取得しようとする農地又は採草放牧地に関する基準ではなく、新たに、周辺の農地又は採草放牧地への影響を見る基準であることから、農業委員会等は許可の判断をするに当たっては、現地調査を行うものとすること。

四 新農地法第三条第三項による農地又は採草放牧地の貸借に係る権利移動規制の緩和に当たっては、借り手が撤退した場合のリスクを回避するため、農地又は採草放牧地を明け渡す際の原状回復、原状回復がなされないときの損害賠償及び中途の契約終了時における違約金支払等について契約上明記するよう指導すること。

五 標準小作料制度の廃止に当たっては、農地の貸借において標準小作料が規範としての機能を発揮していることを踏まえ、新たに設ける実勢借地料の情報提供の仕組みへの円滑な移行を図ること。

六 今回の農地制度の改正内容を、農業者はもとより、広く国民一般に周知・普及するとともに、制度の運用に当たっては、公平・公正・透明性に留意し、許可等の基準を明確にすること。

七 農地制度において重要な役割を果たしている農業委員会組織が現行制度による業務に加え、改正法により新たに担うこととなる業務を適正かつ円滑に執行することができるよう、必要な支援及び体制整備を図ること。

八 土地利用に関する諸制度について、農業生産を目的とする土地利用とそれ以外の土地利用とを一体的かつ総合的に行うことができる計画を、地域住民の意見を踏まえつつ策定する制度の創設その他必要な措置を検討すること。

九 政府は、近年、遊休農地の拡大のみならず、農業従事者の減少・高齢化や農業所得の減少により、農業の持続性が危うくなっている状況にかんがみ、農業・農村の活力を回復するため、地域における貴重な資源としての農地の土づくり、地力増進等を図りながら、家族農業経営、集落営農、法人による経営等の多様な経営体が共存しつつ、それぞれがその持てる力を十分発揮できるための方策について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 右決議する。

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