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   福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 

一 政府は、帰還困難区域については、たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興・再 生に責任を持って取り組むとの決意を表明した以上、その実現に向けては、被災自治体の意向を十分に尊重するとともに、除染を含む特定復興再生拠点区域の整備を国の負担の下で行うことについて、広く国民の理解を得るための、より丁寧な説明を継続して行うこと。

 

二 特定復興再生拠点区域の認定に当たっては、拠点区域の柔軟な設定を認めるなど、市町村の実態を踏まえた運用を図った上で、拠点整備の前提となる除染及び廃棄物の処理等を国が責任を持って対応すること。また、拠点整備を迅速に進めるため、計画策定段階から市町村を支援し、国による事業代行制度の活用を十分図るとともに、より多くの事業者が課税の特例等の適用を受けられるよう配慮すること。

 

三 避難指示解除は復興の出発点であり、JR常磐線早期全線復旧やインターチェンジ新設を含む常磐自動車道四車線化の早期実現等のインフラ整備、地域医療・介護・福祉等の人材確保、魅力ある教育環境など、帰還する住民に不可欠となる生活環境の整備を加速化するとともに、避難指示解除後に生じる新たな課題にも迅速かつ確実に対応すること。また、被災十二市町村における地域公共交通を確保して児童生徒も含めた住民の円滑な帰還につなげるため、交通事業者の安定的な事業運営が可能となるよう配慮すること。さらに、福島の復興再生の前提である、中間貯蔵施設及び特定廃棄物の埋立処分事業について、国が責任を持って着実に実施すること。

 

四 被災十二市町村の事業・生業の再建及び営農再開への支援については、法定化される公益社団法人福島相双復興推進機構を通じて福島県や市町村等と連携しながら一層強化すること。また、被災十二市町村の官民一体となった復興まちづくりを推進するため、帰還環境整備推進法人制度を積極的に活用して、市町村に寄り添った支援を行うこと。

 

五 浜通り地域の再生のための「福島イノベーション・コースト構想」の具体化に当たっては、政府全体での一層の連携強化を図るとともに、国・県及び産学官の連携推進、地元企業の参画促進、国内外の専門家の受入れ並びに人材育成などの各種取組等を進めるとともに、国内外の産業界、学術機関等への周知や協力要請、財政上の措置を含め総合的な支援措置を講ずること。

 

六 根強く残る福島県産農林水産物の風評被害払拭のため、国が行う流通実態調査について、福島県や地元関係団体等と緊密に連携して取り組み、その結果を踏まえた効果的な措置を講ずるほか、生産から流通、消費に至るまでの総合的な対策を確実に実施すること。また、東日本大震災から六年が経過し、未曾有の複合災害に見舞われた福島の記憶を風化させないための必要な施策を継続的に講ずること。

 

七 震災から六年たった今、改めて放射線リスクについての正確で分かりやすい情報発信と理解の促進が重要となっており、これまでの取組を総点検しつつ、風評被害の払拭やいじめ防止などにも資するリスクコミュニケーション対策を抜本強化すること。

 

八 福島の子どもへのいじめの実態を調査し、その調査結果に基づいて、いじめ防止のための必要な対策を速やかに講ずるとともに、全国的な放射線教育を適切に実施すること等により、子どものみならず原発事故避難者全てに対する偏見や差別の払拭を徹底すること。

 

九 福島復興再生基本方針を変更するに当たっては、地元の意見を丁寧に聴き、これに寄り添った対応をとること。

 

十 原子力災害が長期に及ぶことを踏まえ、今後生じる様々な課題の解決に必要な施策を講ずるため、長期かつ十分な予算を確保すること。また、今なお約八万人が避難している福島の状況を踏まえ、被災三県の心のケアセンター間の連携強化等を図るとともに、専門的な心のケアの充実強化に努めること。

 

十一 被災自治体ではマンパワー不足が常態化している中で、避難指示解除後の本格復興の推進に当たり業務量が更に増えることから、 被災自治体の人的資源確保への支援措置を強化すること。

 

十二 住民の長期避難によりイノシシなどの野生鳥獣被害が更に深刻化していることから、現状に即した鳥獣被害対策をより一層確実に実施すること。

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