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行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議

 

政府は、本法の施行に当たっては、本法が個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益の保護を目的としていることを踏まえ、行政の適正かつ円滑な運営を図りながら、個人情報の適正かつ効果的な利活用が進み、活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するよう、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。

一 個人情報の定義等を政令等で定めるに当たっては、国民及び事業者等に分かりやすいものとなるよう、これらの者から幅広く丁寧に意見を聴取するとともに、保護対象を可能な限り明確化すること。

二 非識別加工情報の規定の趣旨が個人情報の利活用を促進するものであることに鑑み、行政機関非識別加工情報等を活用する者が個人情報保護法に基づく匿名加工情報と同様に取り扱うことができることについて、十分な周知を行うこと。

三 個人情報保護委員会は、行政機関非識別加工情報等の作成に係る基準を策定するに当たっては、行政機関及び独立行政法人等の保有する個人情報の特質に十分に配慮するとともに、情報通信分野において日々進展する技術革新に伴って、特定の個人を識別される危険性を排除するために、当該基準に関し、適宜必要な見直しを行うこと。

四 個人情報保護委員会は、本法を含む個人情報保護法制及び個人情報保護委員会規則の適切な運用に努めるとともに、事業者や関係団体に対し、利活用に資する情報を提供する等、必要な支援を行うこと。

  また、そのために、個人情報保護委員会の委員、専門委員及び事務局においては、行政機関及び独立行政法人等における個人情報保護制度及び民間における個人情報の利活用の実務について十分な知見を有する者のほか、個人情報が収集され、提供される国民の権利利益の保護に精通する者などを適切に登用すること。

五 今後、各地方公共団体において、地方公共団体が策定し、又は実施する個人情報の保護に関する施策の見直しに向けた検討が行われることが想定されることから、その円滑な検討に資するよう、速やかに相談窓口を設け、必要な情報提供を行うなど国が地方公共団体に対して協力を行うための体制整備に努めること。

六 我が国の個人情報の保護水準が国際的に十分なものであることを、行政機関非識別加工情報等の制度的な導入も含め、諸外国に積極的に周知し、相互理解を十分に深めること。

七 行政機関等の保有する個人情報には、当該個人情報の取得プロセスにおける義務性・権力性が高いものや、本人にとって秘匿性が高いものが多いことに鑑み、行政に対する国民の信頼を確保する観点から、行政機関等は、保有する個人情報の保護に係る実効性ある情報セキュリティ対策の在り方について不断の検討を行い、必要な対策を遺漏なく確実に実施すること。

八 行政機関及び独立行政法人等においては、非識別加工情報が行政機関等の内部においては個人情報に該当することを十分に認識し、個人情報を取り扱う業務に従事する者のICTの知識とモラルの向上、法令・情報セキュリティポリシーの遵守の徹底を図るための研修実施など、継続的な人材育成に必要な措置を講ずるとともに、非識別加工情報と他の情報との照合は、所掌事務の遂行に必要であり、かつ、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合に限る等、個人情報の保護に万全の体制を構築すること。

九 本法の適正な運用を確保するため、責任者を定めて責任の所在を明確にするなどの管理体制の整備、指針の作成、研修の実施等による指導の徹底を図ること。

十 教育、広報その他の継続的な活動を通じて、個人情報及び非識別加工情報の適正な取扱いの下での利活用の推進に関する国民の理解と信頼を深めるよう努めること。

十一 附則第四条に規定する「個人情報の一体的な利用の促進のための措置」を講ずるに際しては、「法制上の措置」も含めて検討するなど、以上の諸点を踏まえ、必要な見直しを行うこと。

 

右決議する。

 

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