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   所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一八号)概要

 本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。

 この条約は、我が国とオーストリアとの間の現行の租税条約を全面的に改正し、両国間の緊密化する経済関係を反映して、投資交流の更なる促進を図るため、投資所得に対する源泉地国課税を更に減免するとともに、脱税及び租税回避行為により効果的に対処するため、条約の濫用を防止するための規定等を設けるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 この条約が適用される租税は、日本国については所得税、法人税、復興特別所得税、地方法人税及び住民税とし、オーストリアについては所得税及び法人税とすること。

二 一方の締約国の企業の事業利得については、当該企業が他方の締約国内に恒久的施設を有する場合には、当該恒久的施設に帰せられる利得にのみ当該他方の締約国において課税できること。

三 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該他方の締約国において課税できるが、当該一方の締約国でも、配当額の十パーセントを超えない額を課税できること。ただし、当該配当の受益者が他方の締約国の居住者であり、かつ、当該配当を支払う法人の議決権の十パーセント以上を所有する法人である場合等には、当該他方の締約国においてのみ課税できること。

四 一方の締約国内において生じ、他方の締約国の居住者が受益者である利子及び著作権、特許権等の使用料に対しては、原則として、当該他方の締約国においてのみ課税できること。

五 この条約の特典の濫用防止のため、特典を享受できる者を一定の要件を満たす適格者等に限定すること。

六 ある者がこの条約に適合しない課税を受けたと認める事案について、当該者が一方の締約国の権限のある当局に対して申立てをし、かつ、当該当局から他方の締約国の権限のある当局に対する協議の申立日から二年以内に両締約国の権限のある当局が当該事案の解決のための合意に達することができない場合に当該者が要請するときは、当該事案の未解決事項は、原則として仲裁に付託されること。

七 両締約国の権限のある当局は、この条約の規定の実施又は両締約国若しくはそれらの地方政府等が課する全ての種類の租税に関する両締約国の法令の運用若しくは執行に関連する情報を交換すること。

八 両締約国は、租税債権の徴収につき相互に支援を行うこと。

 なお、条約の不可分の一部を成す議定書は、相互協議に係る仲裁の手続及び補足事項等を規定している。

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