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                                        (外務委員会)

   強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)概要

 本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。

 この条約は、拉致を含む強制失踪を犯罪として定め、その処罰の枠組みの確保及び予防に向け締約国がとるべき措置等について規定するものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 いずれの者も、強制失踪の対象とされないこととし、この条約の適用上、「強制失踪」とは、国の機関又は国の許可、支援若しくは黙認を得て行動する個人若しくは集団が、逮捕、拘禁、拉致その他のあらゆる形態の自由のはく奪を行う行為であって、その自由のはく奪を認めず、又はそれによる失踪者の消息若しくは所在を隠蔽することを伴い、かつ、当該失踪者を法律の保護の外に置くものをいうこと。

二 締約国は、強制失踪が自国の刑事法上の犯罪を構成することを確保するために必要な措置をとるとともに、強制失踪を実行した者、強制失踪の実行を命じ、教唆し、勧誘し、若しくは試みた者又は強制失踪に加担し、若しくは参加した者について、刑事上の責任を負わせるために必要な措置をとること。

三 締約国は、(1)強制失踪犯罪が自国の管轄の下にある領域内等で行われる場合、(2)容疑者が自国の国民である場合、(3)失踪者が自国の国民であり、かつ、自国が適当と認める場合、(4)容疑者が自国の管轄の下にある領域内に所在する場合において、当該容疑者についての犯罪人引渡しを行わず、かつ、国際刑事法廷に対して当該容疑者の引渡しを行わないとき、当該犯罪についての裁判権を行使する自国の権限を設定するために必要な措置をとるとともに、訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託すること。

四 締約国は、自国の法令において、自由のはく奪を命ずるための条件を定め、自由のはく奪を命ずることが認められた当局を明示するとともに、自由をはく奪された者が公認・監督された拘禁施設においてのみ拘禁されること、自由をはく奪された者が家族及び弁護人等と連絡を取り、及びその訪問を受けることが認められること等を保障すること。

五 強制失踪の被害者は、強制失踪の状況に関する真実、調査の進展及び結果並びに失踪者の消息を知る権利を有するものとし、締約国は、被害者が被害回復を受ける権利及び迅速、公正かつ適正な賠償を受ける権利を有することを自国の法制において確保すること。

六 強制失踪に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置し、委員会は、自国がこの条約に基づく義務を履行するためにとった措置に関し締約国が提出する報告を検討するものとし、適当と認める意見、見解又は勧告を提示すること等の任務を行うこと。

なお、我が国は、この条約の締結に際して、国家通報制度に関する宣言を行うことを予定している。

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