外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案(内閣提出第37号)の概要
本案は、国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約を踏まえて、外国等を当事者とする民事裁判手続並びに外国等の財産に対する保全処分及び民事執行に関する我が国の裁判権の範囲について定めるとともに、外国等に係る民事の裁判手続についての特例を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 定義
この法律において規律の対象となる「外国等」の意義について定めるものとすること。
二 外国等に対する民事裁判手続について外国等が我が国の民事裁判権に服する場合
1 外国等が特定の事項又は事件に関して我が国の民事裁判権に服することについて明示的に同意した場合及び我が国の裁判所に自ら訴えを提起するなどした場合には、外国等は我が国の民事裁判権に服するものとすること。
2 商業的取引、労働契約、人の死傷又は有体物の滅失等に関する裁判手続のうち一定のものについて、外国等は我が国の民事裁判権に服するものとすること。
三 外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続について外国等が我が国の民事裁判権に服する場合
1 外国等が、その有する財産に対して保全処分又は民事執行をすることについて明示的に同意した場合及び保全処分又は民事執行の目的を達することができるように特定の財産を担保として提供するなどした場合には、外国等は我が国の民事裁判権に服するものとすること。
2 外国等の有する商業用財産等に対する民事執行の手続については、外国等は我が国の民事裁判権に服するものとすること。
3 外国中央銀行等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続については、その明示的な同意がある場合等に限って、外国中央銀行等は我が国の民事裁判権に服するものとすること。
四 外国等に係る民事の裁判手続についての特例
外国等に対する訴状等の送達、外国等が裁判所に出頭しなかった場合の取扱い等、外国等に係る民事の裁判手続についての特例を定めるものとすること。
五 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。