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   刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)の概要

 本案は、刑事手続における証拠の収集方法の適正化及び多様化並びに公判審理の充実化を図るため、取調べの録音・録画制度、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度、証人等の氏名等の情報を保護するための制度等を創設するとともに、犯罪捜査のための通信傍受の対象事件の範囲の拡大、被疑者国選弁護制度の対象事件の範囲の拡大等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 裁判員制度対象事件及び検察官独自捜査事件について、逮捕・勾留中に行われた被疑者取調べ等の際に作成された供述調書等の任意性が公判において争われたときは、検察官は、原則として、その被疑者取調べ等を録音・録画した記録媒体の証拠調べを請求しなければならないものとした上で、検察官、検察事務官又は司法警察職員が、逮捕又は勾留されている被疑者の取調べ等を行うときは、一定の例外事由に該当する場合を除き、その全過程を録音・録画しておかなければならないものとすること。

二 一定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪を対象として、検察官と被疑者・被告人とが、弁護人の同意がある場合に、被疑者・被告人が他人の刑事事件について証拠収集等への協力をし、かつ、検察官がそれを考慮して特定の求刑等をすることを内容とする合意をすることができるものとすること。

三 犯罪捜査のための通信傍受について、その対象犯罪に、殺人、略取・誘拐、詐欺、窃盗等の罪を追加するとともに、暗号技術を活用することにより、傍受の実施の適正を確保しつつ、通信事業者等の立会い・封印を伴うことなく、捜査機関の施設において傍受を実施することができるものとすること。

四 被疑者国選弁護制度の対象を、勾留状が発せられている全ての被疑者とすること。

五 証拠開示制度について、公判前整理手続等において、検察官請求証拠の開示後、被告人又は弁護人から請求があったときは、検察官は、その保管する証拠の一覧表を被告人又は弁護人に交付しなければならないものとすること。

六 証人等の氏名等の開示について、証人等の身体又は財産に対する加害行為等のおそれがあるときは、防御に実質的な不利益を生じるおそれがある場合を除き、検察官が、弁護人に当該氏名等を開示した上で、これを被告人に知らせてはならない旨の条件を付することができ、特に必要があるときは、弁護人にも開示せず、代替的な呼称等を知らせることができるものとすること。

七 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。

八 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、取調べの録音・録画等の実施状況を勘案し、取調べの録音・録画等に関する制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

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