少年法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)の概要
本案は、少年審判手続のより一層の適正化を図るため、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度及び検察官関与制度の対象事件の範囲を拡大するほか、少年に対する刑事事件における科刑の適正化を図るため、少年に対する不定期刑の長期と短期の上限の引上げ等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 家庭裁判所の裁量による国選付添人制度及び検察官関与制度の対象事件の範囲拡大
家庭裁判所の裁量による国選付添人制度及び検察官関与制度の対象事件の範囲を死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪に拡大すること。
二 少年の刑事事件に関する処分の規定の見直し
1 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対して、無期刑をもって処断すべき場合において、有期の懲役又は禁錮を科す場合における刑の上限を「十五年」から「二十年」に引き上げること。
2 少年に対する不定期刑の規定の見直し
㈠ 少年に対して不定期刑を科す事件の範囲を「長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもって処断すべきとき」から「有期の懲役又は禁錮をもって処断すべきとき」に改めるとともに、短期は、長期の二分の一(長期が十年を下回るときは、長期から五年を減じた期間。㈡において同じ。)の範囲内を下回ることができないとすること。
㈡ 不定期刑の短期について、少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮し特に必要があるときは、処断すべき刑の短期の二分の一及び長期の二分の一を下回らない範囲内において、定めることができるものとすること。
㈢ 不定期刑の長期と短期の上限について、「十年」と「五年」から「十五年」と「十年」に引き上げること。
3 少年法第五十一条第二項の規定により言い渡した有期刑について、仮釈放を許すことができるまでの期間を「三年」から「その刑期の三分の一」に改めること。
三 施行期日
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行すること。