保険法案(内閣提出第65号)の概要
本案は、保険契約に関する法制を現代の社会経済に的確に対応したものとするため、商法の保険契約に関する規定を全面的に見直して、保険契約に関する単行法を制定するとともに、国民に理解しやすい法制とするため、表記を現代用語化しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 共済契約への適用範囲の拡大
保険契約と同等の内容を有する共済契約を保険法の適用の対象に含めるものとすること。
二 傷害疾病保険に関する規定の新設
損害保険及び生命保険のほかに、傷害疾病保険に関する規定を新設するものとすること。
三 保険契約者等を保護するための規定の整備
1 保険契約締結時の告知についての規定の見直し
保険契約者等は保険者から質問された事項について告知すれば足りるものとするとともに、保険募集人による告知妨害等があった場合の規定を新設するものとすること。
2 保険金の支払時期についての規定の新設
保険金の支払時期についての規定を新設し、保険者が適正な保険金の支払のための不可欠な調査を行うために客観的に必要な期間が経過した後は、保険者は遅滞の責任を負うものとすること。
3 片面的強行規定の導入
1及び2の規定等に反する特約で保険契約者等に不利なものを無効とする片面的強行規定を導入するものとすること。
四 責任保険契約についての先取特権
責任保険契約について、被保険者が倒産した場合でも保険金から優先的に被害の回復を受けられるようにするため、被害者に、保険給付を請求する権利について特別の先取特権を付与するものとすること。
五 生命保険契約の保険金受取人の変更についての規定の整備
生命保険契約の保険金受取人の変更の意思表示の相手方が保険者であること及び遺言による保険金受取人の変更が可能であることについて、明文の規定を設けるものとすること。
六 表記の現代用語化
片仮名文語体の表記を平仮名口語体に改めるものとすること。
七 施行期日
この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。