少年法の一部を改正する法律案(内閣提出第68号)要旨
本案は、犯罪被害者等基本法等を踏まえ、少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るため、所要の法整備を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 被害者等による少年審判の傍聴
家庭裁判所は、殺人事件等一定の重大事件の被害者等から、審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、その申出をした者に対し、これを傍聴することを許すことができるものとすること。
二 被害者等による記録の閲覧及び謄写の範囲の拡大
少年保護事件の被害者等には、原則として、記録の閲覧又は謄写を認めるものとするとともに、閲覧又は謄写の対象記録の範囲を拡大し、非行事実に係る部分以外の一定の記録についても、その対象とすること。
三 被害者等の申出による意見の聴取の対象者の拡大
被害者の心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹についても、被害者等の申出による意見の聴取の対象者とすること。
四 成人の刑事事件の管轄の移管等
成人の刑事事件に関し、少年法第三十七条第一項に掲げる罪(児童福祉法違反等)に係る第一審の裁判権を、家庭裁判所から地方裁判所等に移管するとともに、家庭裁判所が少年保護事件の調査又は審判により同項に掲げる事件を発見したときの通知義務について規定した同法第三十八条を削除すること。
五 施行期日
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。