児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第55号)概要
本案は、児童虐待防止対策の強化を図るため、児童の権利擁護、児童相談所の体制強化及び設置促進並びに関係機関間の連携強化等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 親権者は、児童のしつけに際して、体罰を加えてはならないこととするとともに、児童相談所長等は、児童に対し、体罰を加えることはできないこととすること。
二 都道府県の業務として、児童の安全を確保することを明文化すること。
三 都道府県は、児童の一時保護等の介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分ける等の措置を講じなければならないこと。
四 児童相談所において常時弁護士による助言又は指導の下で法律関連業務を行うための体制整備、児童相談所への医師及び保健師の配置、児童福祉司の任用要件の見直し等による児童相談所職員の資質の向上を図るとともに、都道府県知事は、児童相談所が行う業務の質の評価を行うこと等により、その業務の質の向上に努めなければならないこととすること。
五 児童相談所の管轄区域は、人口その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとすること。
六 学校、教育委員会、児童福祉施設等の職員は、正当な理由なく、その職務上知り得た児童虐待を受けたと思われる児童に関する秘密を漏らしてはならないこととすること。
七 ドメスティック・バイオレンス対策との連携強化を図るため、児童相談所と配偶者暴力相談支援センターについて、相互に連携協力に努めるべき機関として法律上明確化すること。
八 政府は、この法律の施行後二年を目途として、民法に定める懲戒権の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
九 政府は、この法律の施行後五年間を目途として、中核市及び特別区が児童相談所を設置できるよう、設置に係る支援その他の必要な措置を講ずるものとすること。
十 この法律は、一部を除き、平成三十二年四月一日から施行すること。