移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律案(参議院提出、参法第35号)概要
本案は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図り、もって造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施に資するため、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、施策の基本となる事項について定めるとともに、骨髄・末 梢 血幹細胞提供あっせん事業及び 臍 帯血供給事業について必要な規制及び助成を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 基本理念として、造血幹細胞移植を必要とする者がこれを受ける機会が十分に確保されることを旨として移植に用いる造血幹細胞の提供の促進が図られなければならないこと、造血幹細胞の提供は任意にされたものでなければならないこと等を定めること。
二 国及び地方公共団体は、基本理念にのっとり、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有すること。また、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者及び臍帯血供給事業者(以下「造血幹細胞提供関係事業者」という。)並びに造血幹細胞提供支援機関は、移植に用いる造血幹細胞の提供において中核的な役割を果たすべきことに鑑み、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に積極的に寄与するよう努めなければならないこと。
三 厚生労働大臣は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るための基本的な方針を定めるものとすること。
四 国は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進のため、国民の理解の増進、情報の一体的な提供、提供者等の健康等の状況の把握及び分析のための取組の支援等の必要な施策を講ずるものとすること。
五 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業又は臍帯血供給事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならないこととするとともに、当該許可を受けた事業者の義務等について定めること。また、国は、当該許可を受けた事業者に対し、各事業に要する費用の一部を補助することができること。
六 厚生労働大臣は、移植に用いる骨髄又は末梢血幹細胞を提供する意思がある者の登録その他造血幹細胞提供関係事業者の行う事業に必要な協力等を、適正かつ確実に行うことができると認められる営利を目的としない法人を、全国を通じて一個に限り、造血幹細胞提供支援機関として指定することができること。
七 この法律の規定については、この法律の施行後三年を経過した場合において、施行の状況等を勘案して必要があると認められるときは、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。
八 この法律は、一部を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。