道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)(参議院送付)の概要
本案は、最近における道路交通をめぐる情勢に鑑み、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの(以下「一定の病気」という。)にかかっている者等の的確な把握及び負担の軽減を図るため、運転免許を受けようとする者に対する質問に関する規定等の整備を行うほか、無免許運転等に係る罰則の強化、自転車の運転による交通の危険を防止するための講習の導入等を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 公安委員会は、免許を受けようとする者等に対し、一定の病気等に関する質問票を交付することができることとし、当該質問票に虚偽の記載をして提出した者に対する罰則を整備すること。
二 医師は、その診察を受けた者が一定の病気等のいずれかに該当すると認めた場合において、その者が免許を受けた者等であることを知ったときは、当該診察の結果を公安委員会に届け出ることができること。
三 公安委員会は、自動車等の運転により交通事故を起こした者で一定の病気等に該当する疑いがあるもの等に対し、その免許の効力を停止することができること。
四 一定の病気に該当すること等を理由として免許を取り消された後一定の期間内に再取得した免許に係る免許証の有効期間に関する規定の見直しを行うこと。
五 一定の病気に該当すること等を理由として免許の取消しを受けた者については、一定の期間内において、免許の再取得に係る試験の一部を免除すること。
六 無免許運転を行った者等に対する罰則を引き上げるほか、無免許運転を行うおそれがある者に対し自動車等を提供する行為及び自己の運送の要求等をして無免許運転が行われている自動車等に同乗する行為を禁止し、これらに違反した者に対する罰則を整備すること。
七 公安委員会は、自転車の運転に関し反復して一定の違反行為をした者が、更に自転車を運転することが道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、自転車の運転による交通の危険を防止するための講習を受けるべき旨を命ずることができること。
八 一定の基準に適合する制動装置を備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがある自転車と認められる自転車の検査等に関する規定を整備すること。
九 軽車両が通行することができる路側帯について、道路の左側部分に設けられた路側帯に限ること。
十 環状交差点における車両等の交通方法の特例に関する規定を整備すること。
十一 放置違反金の収納事務の委託に関する規定を整備すること。
十二 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。