口蹄疫対策特別措置法案(農林水産委員長提出、衆法第二六号)概要
本案は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因する事態に対処するため、口蹄疫のまん延を防止するための措置、口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担等、生産者等の経営及び生活の再建等のための措置等の特別の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 口蹄疫のまん延を防止するための措置
1 農林水産大臣が車両等の消毒の義務を課す必要がある地域として指定する地域内において、都道府県知事が消毒のための設備を設置している場所を通行しようとする者は、その使用する車両その他の物品を消毒しなければならないこと。
2 都道府県知事は、口蹄疫のまん延を防止するためやむを得ない必要があるときは、農林水産大臣が患畜等以外の家畜の殺処分を行う必要がある地域として指定する地域内において家畜(患畜及び疑似患畜を除く。)を所有する者に、期限を定めて当該家畜を殺すべきことを勧告することができるものとし、所有者が当該勧告に従わないとき等において緊急の必要があるときは、都道府県知事は、家畜防疫員に当該家畜を殺させることができるものとすること。
二 口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担等
国は、都道府県知事又は家畜防疫員が、この法律の規定に基づき消毒を実施するために要する費用、焼却又は埋却を実施するために要する費用、患畜等以外の家畜の殺処分による損失の補てん等を実施するために要する費用、焼却又は埋却を行った者に交付する費用の全部又は一部を負担するものとすること。
三 生産者等の経営及び生活の再建等のための措置
1 国は、口蹄疫のまん延により経営及び生活が不安定になっている家畜の生産者、関連事業者等の経営の安定及びその生活の安定を図るため、事業再建等に必要な資金の無利子の貸付けその他の必要な措置を講ずるものとすること。
2 国及び地方公共団体は、地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施することができるよう、基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとすること。
四 施行期日等
1 この法律は、公布の日から施行し、平成二十四年三月三十一日限りでその効力を失うものとすること。
2 政府は、この法律及び家畜伝染病予防法の施行の状況等を踏まえ、平成二十四年三月三十一日までの間に、効果的な家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止の在り方等について検討を行い、その結果に基づき、家畜伝染病予防法の抜本的な見直しを含め、所要の措置を講ずるものとすること。