森林法等の一部を改正する法律案（内閣提出第五〇号）概要

　本案は、最近における森林及び林業をめぐる状況を踏まえ、林業の成長産業化を実現するため、国産材の安定供給体制の構築、森林資源の再造成の確保及び森林の公益的機能の維持増進を一体的に図る必要があることから、関係法律について所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一　森林法の一部改正

　１　森林所有者等に対し、伐採後の造林に係る状況報告を義務付けること。

　２　共有林の立木の所有者の一部が所在不明であっても伐採・造林ができるよう、所在不明者の持分の移転等を行う裁定制度を設けること。

　３　森林経営計画の認定要件に、鳥獣害防止に関する事項を追加すること。

　４　市町村が作成する林地台帳に関する規定を設けること。

　５　違法な林地開発を行った者に対する罰則を強化すること。

二　分収林特別措置法の一部改正

　　分収林契約の当事者の十分の一を超える異議がない場合は、伐採時期の延長等の契約変更を可能とすること。

三　森林組合法の一部改正

　１　森林組合は、森林の保続培養等の目的に加え、林業を行う組合員の利益増進を目的とする森林経営事業を実施できるようにするとともに、その実施要件を緩和すること。

　２　森林組合に加え、森林組合連合会による森林経営事業を可能とすること。

四　木材の安定供給の確保に関する特別措置法の一部改正

　１　都道府県域を超える木材の安定取引に関する事業計画について、農林水産大臣の認定制度を設けること。また、事業計画の作成者に木質バイオマス利用事業者等を追加すること。

　２　事業計画の対象森林について、伐採材積の上限など森林経営計画の認定基準を緩和すること。

五　国立研究開発法人森林総合研究所法の一部改正

　１　国立研究開発法人森林総合研究所が暫定的に行っている水源林造成業務について、本則に位置付けるとともに、育成途上の森林の整備を可能とすること。

　２　国立研究開発法人森林総合研究所の名称を「国立研究開発法人森林研究・整備機構」に、法律の題名を「国立研究開発法人森林研究・整備機構法」に改称すること。

六　施行期日

　　この法律は、平成二十九年四月一日から施行すること。