都市農地の貸借の円滑化に関する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)概要
本案は、最近における都市農業をめぐる諸情勢の変化に鑑み、都市農地の有効な活用を図り、もって都市農業の健全な発展に寄与するとともに、都市農業の有する機能の発揮を通じて都市住民の生活の向上に資するため、都市農地の貸借の円滑化のための措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 基本理念
都市農地(生産緑地地区の区域内の農地をいう。以下同じ。)の貸借の円滑化のための措置は、都市農地が自ら耕作の事業を行う者又は特定都市農地貸付け(都市農地についての賃借権等の設定で、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律に規定する営利を目的としない農作物の栽培の用に供するための農地の貸付けであること等の要件を満たす貸付けをいう。以下同じ。)を行う者により有効に活用され、都市農業の安定的な継続が図られることを旨として、講ずるものとすること。
二 自らの耕作の事業の用に供するための都市農地の貸借の円滑化
1 都市農地について賃借権等の設定を受けようとする者は、当該賃借権等の設定に係る都市農地における耕作の事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を作成し、市町村長に提出して、その認定を受けることができるものとすること。
2 市町村長は、1の認定の申請があった場合、その事業計画について、申請に係る耕作の事業の内容が、都市農業の有する機能の発揮に特に資するものと認められること等の要件に該当するものであるときは、農業委員会の決定を経て、その認定をするものとすること。
3 市町村長は、2の認定を受けた者が、事業計画に従って耕作の事業を行っていないと認める場合等には、認定を受けた者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができるものとすること。また、市町村長は、勧告を受けた者が、当該勧告に従わなかった場合等には、農業委員会の決定を経て、認定を取り消すことができるものとすること。
4 認定を受けた事業計画に従って都市農地に賃借権等が設定される場合には、農地法第三条第一項本文(農地の権利移動の制限)、第十七条(法定更新)等の規定は、適用しないものとすること。
三 特定都市農地貸付けの用に供するための都市農地の貸借の円滑化
都市農地を市民農園の開設に必要な特定都市農地貸付けの用に供するため、当該都市農地の所有者及び市町村と協定を締結している者は、当該都市農地の所有者から都市農地を直接借り受けることができるものとすること。
四 施行期日
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。