金融商品取引法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)概要
本案は、適格機関投資家等特例業務に関する特例制度をめぐる昨今の状況を踏まえ、成長資金の円滑な供給を確保しつつ、投資者の保護を図るため、適格機関投資家等特例業務を行う者について、一定の欠格事由を定め、契約の概要及びリスクを説明するための書面の契約締結前の交付の義務付け等を行うとともに、業務改善命令、業務停止命令等の監督上の処分を導入する等の措置を講ずるもので、その主な内容は次のとおりである。
一 適格機関投資家等特例業務に関する特例等の見直し
1 適格機関投資家等特例業務として行うことのできる場合から、投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものを除外すること。
2 適格機関投資家等特例業務を行う者が届け出なければならない事項の見直し及び添付書類の追加等を行うとともに、適格機関投資家等特例業務を行ってはならない者として適格機関投資家等特例業務の廃止を命ぜられた日から五年を経過しない者等を定めること。
3 適格機関投資家等特例業務を行うための届出を行った者(以下「特例業務届出者」という。)について、金融商品取引業者とみなして、顧客に契約の概要やリスクを説明するための契約締結前の書面交付義務、適合性の原則等、必要な行為規制に関する規定を適用すること。
4 特例業務届出者について、帳簿書類の作成及び保存、事業報告書の作成及び内閣総理大臣への提出、事業報告書に係る説明書類の縦覧等の規定の整備を行うこと。
二 問題のある特例業務届出者への対応
1 内閣総理大臣は、特例業務届出者に対する監督上の処分として、業務改善命令、業務停止命令、業務廃止命令を行うことができること。
2 内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、特例業務届出者等に対し、報告若しくは資料の提出の命令又は検査を行うことができること。
3 裁判所の禁止又は停止命令の対象に、適格機関投資家等特例業務等に係る業務執行が著しく適正を欠き、かつ、現に投資者の利益が著しく害されている場合等において、投資者の損害の拡大を防止する緊急の必要があるときにおける販売・勧誘行為を追加すること。
4 適格機関投資家等特例業務の届出をせず、又は虚偽の届出をした者等に係る罰則の強化等を行うこと。
三 施行期日
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。