民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律案(山本ともひろ君外三名提出、第百九十回国会衆法第四三号)概要
本案は、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資するため、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 休眠預金等の定義並びに休眠預金等に係る資金の移管及び管理等
1 休眠預金等の定義を、最終異動日等から十年を経過した預金等とすること。
2 金融機関は、最終異動日等から九年を経過した預金等について、預金者等への通知(一定の場合を除く。)の後、公告しなければならないこと。その上でなお、休眠預金等があるときは、納期限までに休眠預金等移管金として預金保険機構に納付しなければならないこと。
3 当該納付の日において、休眠預金等に係る債権は消滅すること。その場合において、休眠預金等の預金者等であった者は、預金保険機構に対し、当該預金等の元本及び利子に相当する額を休眠預金等代替金として、その支払を請求できること。
二 休眠預金等に係る資金の活用に関する基本理念及び公益に資する活動の定義等
1 休眠預金等に係る資金は、人口の減少、高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化が見込まれる中で国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ることを目的として民間の団体が行う公益に資する活動であって、これが成果を収めることにより国民一般の利益の一層の増進に資する民間公益活動に活用されるものとすること。その際、当該資金が、宗教団体、政治団体、暴力団及びその構成員の統制下にある団体等に該当する団体に活用されることのないようにすること。
2 1の公益に資する活動とは、子ども及び若者の支援、日常生活又は社会生活を営む上で困難を有する者の支援、地域社会における活力の低下等に直面する地域の支援並びにこれらに準ずるものとすること。
三 基本方針及び基本計画
1 内閣総理大臣は、四3の休眠預金等交付金に係る資金について、次の策定及び公表をしなければならないこと。
(一) この法律で定める休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本理念にのっとった当該資金の活用に関する基本方針
(二) (一)の基本方針に即した、毎年度の休眠預金等交付金に係る資金の円滑かつ効率的な活用を推進するための基本計画
2 (一)の基本方針及び(二)の基本計画の制定及び変更においては、あらかじめ、内閣府に設置する休眠預金等活用審議会の意見を聴かなければならないこと。
四 指定活用団体
1 内閣総理大臣は、全国に一を限って、民間公益活動の促進に資することを目的とする一般財団法人をその申請により、指定活用団体として指定することができること。
2 指定活用団体は、公募により決定される次の団体に対し、民間公益活動促進業務として助成、貸付け等を行い、かつ、適切な監督を行うものとすること。
(一) 民間公益活動を行う団体
(二) (一)に対し、貸付けを行う資金分配団体
3 預金保険機構は、毎事業年度、休眠預金等移管金から休眠預金等代替金支出のための準備金等を控除した金額のうち、民間公益活動促進業務に係る経費を、休眠預金等交付金として指定活用団体に交付すること。
4 内閣総理大臣は、指定活用団体に対し、次の事項を行うことができること。
(一) 民間公益活動促進業務規程、毎事業年度の事業計画及び収支予算並びに役員の選任及び解任の認可
(二) 役員の解任命令、休眠預金等交付金の全部又は一部に相当する金額の預金保険機構への納付命令、監督上必要な命令及び期間を定めた民間公益活動促進業務の全部又は一部の停止命令
(三) 指定の取消し
五 報告又は資料の提出及び立入検査
行政庁は、金融機関等又は指定活用団体に対し、次の事項を行うことができること。
(一) 業務又は財産の状況に関する報告及び資料の提出要求
(二) 職員による施設への立入り、質問又は検査
六 施行期日等
1 この法律は、別段の定めがある場合を除き、公布の日から一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
2 この法律の規定は、施行日以後に最終異動日等から九年を経過することとなる預金等について適用すること。
3 この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。