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原子力規制委員会設置等に関する件

政府は、「原子力規制委員会設置法」を施行するに当たっては、次の事項に留意し、その運用について万全を期すべきである。

一 本法律が、「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資すること」を目的としていることに鑑み、原子力規制行政に当たっては、推進側の論理に影響されることなく、国民の安全の確保を第一として行うこと。

二 原子力規制庁の職員の人事については、本法律が原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、全ての職員に原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織へのノーリターンルールを適用することとしていることに鑑み、法施行後五年以内にあっても、可能な限りその趣旨に沿った人事を行うこと。

三 原子力安全規制の専門技術的事務を担う独立行政法人原子力安全基盤機構の統合は、一体的な原子力安全規制行政の確保に不可欠であることに鑑み、統合のための法制上の措置が可能な限り速やかに行えるよう、関係の行政機関が一体となって取り組むこと。また、その職員の引継ぎに当たっては、現在の給与水準の確保及び専門的な知識及び経験を要する職務と責任に応じ、資格等の取得の状況も考慮した給与の体系の整備その他の処遇の充実のための措置を行うこと。

四 原子力安全規制の独立性を確保するためには、職員の原子力安全に関する能力等の向上を図ることが重要であることに鑑み、国際機関や国内外の大学や研究機関との人事交流や職員の研修制度の充実のための措置を行うこと。

五 東京電力福島第一原子力発電所事故においては、緊急事態応急対策拠点施設、いわゆるオフサイトセンターが機能しなかった反省に鑑み、原子力防災対策に関し現地での実効性を担保するために、オフサイトセンターを原子力施設から適切に離れた場所に設置すること。また、その場所は、原子力施設近傍の原子力災害を受けない場所に第二オフサイトセンターを新設するのではなく、県庁等の関係者の参集が容易な交通手段が整い、情報収集や指示・命令の情報伝達を行う通信の確保が図りやすい場所を基本とすること。

六 原子力災害において、避難が遅れた住民の安全の確保が図られるよう、放射線防護のための一次避難が行える施設を整備すること。

七 今回の東京電力福島第一原子力発電所事故から、緊急時の防災は平時から防災に対する備えが重要であるとの教訓を得たことに鑑み、原子力防災会議と原子力規制委員会は平時から緊密な連携関係を構築し、防災体制の一体化を図ること。

八 内閣に置かれる原子力防災会議及びその事務局長、事務局の在り方については、原子力災害を含む大規模災害への対処に当たる政府の組織の在り方についての抜本的な見直しの方向性を踏まえつつ、この法律の施行後三年以内に行われる原子力利用における安全の確保に係る事務を所掌する行政組織に関する検討と併せて、その見直しを行い、必要な措置を講ずること。

九 地方公共団体、住民等が編成する地域の組織と、国、原子力事業者及び関係行政機関等との緊密な連携協力体制を整備するため、フランスにおける原子力透明化法に規定される地域情報委員会制度等、諸外国の事例等を踏まえつつ、望ましい法体系の在り方について検討し、必要な措置を速やかに講ずること。

十 第十一条第四項の内部規範を定めるに当たっては、原子力規制委員会は、以下の各点の規定を設けること。

1 委員長若しくは委員個人の研究又はその所属する研究室等に対する原子力事業者等からの寄附について、その在任中のみならず、その就任前直近三年間についても、寄附者及び寄附金額を公表する旨の規定

2 委員長又は委員が、その在任中、原子力事業者等から寄附を受けてはならない旨の規定

3 委員長又は委員に就任した者が研究を指導していた学生の原子力事業者への就職について、その原子力事業者名、事業者ごとの就職者数等を公表する規定

十一 原子力規制委員会が行う原子力事故の原因の調査に関する事務については、原子力行政において過去に原子力事故やトラブルの隠蔽がされてきたことへの反省に立ち、事故等の規模にかかわらず、国民に対し、速やかに全ての情報を公開することを旨として行うこと。

十二 国家公務員を新規に採用するに当たっては、原子力規制庁に十分な人材が配置されるよう、一定の採用枠を確保する等の配慮を行うこと。

 

 右決議する。

 

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