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   「行政監視に基づく事業の見直しに関する決議」のフォローアップに基づく決議

 

 本委員会は、予算の計上及び執行の適正について徹底した検証を行うために行政監視に関する小委員会を設置し、昨年十一月十六日及び十七日に同小委員会において有識者の意見を求めつつ集中的に討議して評価を行った結果、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築、医療費レセプト審査事務、公務員宿舎建設・維持管理等に必要な経費並びに原子力関連予算の独立行政法人及び公益法人への支出について、改善を求めるべき事項を指摘し、予算編成及び執行に十分に反映させるなどの対応を求めるとともに、反映状況につき講じた措置について、本委員会に対し六箇月以内に報告するよう求める決議を十二月八日に行ったところである。

 今国会に設置した行政監視に関する小委員会において、去る六月十三日に報告を聴取し、八月二日に集中的に討議してその内容を精査したところ、政府の対応、また、これを説明する資料の提出について十分でないものがあった。改善が不十分な点があったことは極めて遺憾である。

よって、本委員会は、これらの事項を今後も質疑等で適宜取り扱い、行政監視を行っていくため、政府に対し、以下について速やかに対応するよう求める。

 

一 革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築

  決議では、スーパーコンピュータ「京」の技術選択の過程、特に当初のスカラー・ベクトル混合型からの方針転換について国民に明確に説明することを求めたが、今回の討議においても十分に説明されたとは言い難い。改めて国民に向けて論理的かつ合理的な説明を行うよう求める。

  また、決議では、スーパーコンピュータ「京」の完成後のスーパーコンピュータの開発戦略を早急に検討して公表することを求めたが、文部科学省の回答は平成二十六年三月頃の最終報告に向けて検討中というもので、スピード感を欠いている。検討を加速するよう求める。

 

二 医療費レセプト審査事務

  決議では、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会のレセプト審査事務の質の向上とコスト削減について、競争による改善が期待できないのであれば、統合に向けた検討を進めることを求めたが、今回の討議においては厚生労働省が中途半端な対応をしていることが明らかになった。競争原理が働かない障壁を取り除く努力を真剣に行うことを求める。

また、昨年の小委員会において統合効果に否定的な試算が提出されたことに対して、決議において、既存の統合コスト試算を抜本的に見直し、統合による長期的なコスト削減効果を明確に示すことを求めたところ、厚生労働省からは統合効果に肯定的な新たな試算が提出されたが、その結果、当初の試算が不適切であり、結果として、議論を一方向に誘導するものであった。このような問題について責任が明確になる体制を整備し、再発の防止に努めるよう求める。

誤ったレセプトを多数提出する医療機関については、指導を徹底し、なおも改善が見られない場合にはその名称を国民に公表することも検討するなど、医療費請求のより一層の適正化を図るよう求める。

  また、労災医療費のレセプト審査事務の支払基金等への委託についての検討を求めたが、厚生労働省は、「労災診療費のレセプト審査事務に関する検討会」の報告書で「国が直接一括して審査する現在の方式が妥当」としたことを受け、「現在の方式の中で業務改善を行い、更なる経費の縮減に努めていく」と回答しているが、今回の討議において、検討会が業務改善等についての議論を尽くしていないことが明らかになった。検討会を再開するなどして、その具体策を十分に検討することを求める。

 

三 公務員宿舎建設・維持管理等に必要な経費

  決議では、公務員宿舎について、職務上、真に公務員宿舎を必要とする職員のためのものであるかどうかを精査し仕分けすることを求め、財務省からは五類型に限定し、各省庁が当該類型に基づいて戸数を精査した旨の回答があったが、今回の討議においては、残存させる宿舎が五類型のいずれに該当するかについての議論があった。五類型の意義及び各類型に該当する戸数の根拠について、国民の理解を得られるように説明する努力が必要である。

  また、真に保有すべきとされた戸数に係る予算縮減に関しては、老朽化宿舎についてコスト比較等を行うことにより建替を抑制するとしているが、宿舎保有のコストについて、金利想定や賃料水準を見直すことにより、国民負担を極小化することを求める。

 

四 原子力関連予算の独立行政法人及び公益法人への支出

  決議では、原子力関連予算の独立行政法人及び公益法人への支出の妥当性及び有効性を検証し、特に天下りや利権を生み出すことについては厳しく検証して、独立行政法人及び公益法人の整理統廃合を進めることを求めたが、今回の討議においても、法人の整理統廃合を実行しようとする姿勢が各省庁に見られなかった。決議において求めた原子力関連予算の力点の移動に対応して既存組織の業務内容を見直し、スクラップ・アンド・ビルドを行うことを求める。決議以降の事業見直しの予算への反映状況を、審議対象としたすべての独立行政法人及び公益法人について明らかにするよう求める。

  また、核燃料サイクル計画については、再処理工場の立地を受け入れた地域に配慮しつつ、再検証を行うよう求めたが、高速増殖炉の実用化、高レベル放射性廃棄物の最終処分と引き上げ時期について、現実的な見通しを、当該地域に適宜説明することを求める。

 

 右決議する。

 

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