新型インフルエンザ対策の推進に関する件
政府は、新型インフルエンザ対策の実施に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 将来発生が見込まれる新型インフルエンザに係る予防接種についての被接種者の費用負担の在り方については、今後、季節性インフルエンザの予防接種の費用負担の状況、他の予防接種の費用負担の在り方、諸外国における予防接種に係る制度等を踏まえ、検討を行うこと。
二 新型インフルエンザ予防接種事業の優先接種対象者等となっていない一般健康成人への接種をできるだけ早期に開始できるようにすること。その際、歯科医師、薬剤師等の医療従事者及び介護従事者並びに小児と触れ合う機会の多い養護教諭、保育士及び幼稚園教諭についてできる限り優先して接種できるようにすること。
三 新型インフルエンザの流行状況等を勘案して各都道府県が優先接種対象者の接種開始時期を前倒しすること等の弾力的な運用を認めること。
四 今回の新型インフルエンザ予防接種による健康被害に対する給付の額については、新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法附則第六条の規定を踏まえ、次期通常国会への法案提出も視野に入れ、予防接種法の見直しの議論を進める中で併せて検討を行うこと。
五 新型インフルエンザ予防接種事業に使用するワクチンの供給が適正かつ円滑に行われるよう努めること。また、その結果について検証し、国会に報告するとともに広く国民に公表すること。
六 新型インフルエンザ予防接種により業務に起因して健康被害が生じた医療従事者については、労働者災害補償保険法の休業補償の対象となることを明確にすること。
七 特例承認を行う新型インフルエンザワクチンの安全性及び有効性に係る情報については、国民に対し積極的に開示すること。
八 新型インフルエンザワクチンを特例承認する場合においても、国内外の十分な情報を集め分析するとともに、国内で治験を行う等安全性及び有効性の確保に万全を期すること。また、著しく有害な作用を有するなど、安全性の確保に疑義がある場合は、特例承認を行わないこと。
九 ワクチンによる健康被害に係る賠償により生じた製造業者の損失に対する緊急時の政府補償の在り方については、我が国におけるワクチン開発の振興を図る観点から検討を行うこと。
十 新型インフルエンザ予防接種に当たっては、接種する新型インフルエンザワクチンに係る国産又は輸入の別、輸入ワクチンの場合は鶏卵培養又は細胞培養の別を被接種者に開示し適切な説明を行うこと。また、当該情報について被接種者に十分説明した上で、本人の意思確認の上で新型インフルエンザワクチンを接種すること。
十一 新型インフルエンザ予防接種による副反応の発生状況等について迅速な把握に努めるとともに、速やかに国民に開示すること。
十二 新型インフルエンザ予防接種に当たっては、副反応の発生する可能性等について適切な説明を必ず行うこと。
十三 鳥インフルエンザに由来する新型インフルエンザ(H五N一)や今般の新型インフルエンザウイルス株の変異に対応する新型インフルエンザワクチン開発と医療提供の体制を確立すること。
十四 新型インフルエンザワクチンについては、国内生産により全国民分を供給できるよう、その製造能力を飛躍的に向上させるため、平成二十年四月二十三日の当委員会における附帯決議を踏まえ、細胞培養法の開発等に係る予算を確保し、国が主導して研究開発を積極的に進めること。
十五 途上国における新型インフルエンザワクチンの供給改善のための支援を行うこと。
右決議する。