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教育現場の実態に即した教職員定数の充実に関する件

平成二十七年六月三日

衆議院文部科学委員会

 

公立小学校一年生の学級編制の標準については、平成二十三年に改正された義務標準法において、四十人から三十五人に引き下げられたものであり、同法の附則第二項においては、政府は公立の義務教育諸学校の学級規模及び教職員の配置の適正化に関し、小学校二年生以上の学級編制の標準も順次改定すること等について検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとされている。

 

また、本委員会では、全会一致で可決された同法案に対して、政府及び関係者は、同法の施行に当たって、「必要かつ十分な数の加配教員が配置できるよう予算の確保に努める」とともに、「義務教育費国庫負担金について、現場の要望を十分かつ確実に反映できるよう予算の確保に努めること」とする附帯決議を全会一致で付した。

 

去る五月十一日、財政制度等審議会財政制度分科会において、義務教育予算について、平成三十六年度までに約四万二千人の教職員の合理化が可能であるとの機械的な試算などが示された。同分科会においては、昨年十月にも、公立小学校一年生の学級編制の標準の四十人への引上げ等についての提案がなされており、これらの提案は、平成二十三年の改正法及び同法案に対する本委員会の附帯決議の趣旨に反するものであり、到底容認できない。また、高等教育に関し、国立大学法人は多様な収入源の確保を目指すべきではないかとして、授業料の引上げを示唆する見解も示されている。

 

教育への投資は「未来への先行投資」であり、その効果は、教育を受けた個人にとどまらず、社会全体に及び、中長期的にはイノベーションを生みだし、国の成長の原動力となる。教育にどれだけ投資するのかは、国家としての重要な政策上の選択である。

 

このため、政府は、これからの時代に応じた新しい教育を実現するため、単なる財政面だけではなく、長期的な我が国の在り方を見通す広い視野を持ち、教育現場の実態に即した教職員定数の充実に向けて、次の事項の実現に万全を期すべきである。

 

一 児童生徒の創造性や考える力を培う授業への転換を図り、これからの社会に対応する主体的、協働的な学びを実現するため、教職員が児童生徒一人一人と向き合うことのできる環境整備、教員の指導力向上を図る体制の充実に努めるとともに、学校現場を取り巻く課題が複雑困難化し、教職員が多忙化しているなどの実態を踏まえ、教職員定数を計画的に改善すること。

 

二 教職員定数の計画的な改善に当たっては、義務標準法を改正し、小学校二年生以上においても、学級編制の標準を三十五人に引き下げるなど、平成二十三年に改正された義務標準法の附則第二項の趣旨の実現を期すべきこと。

 

三 いじめ対策や特別支援教育、貧困による教育格差の解消など、社会の変化によって、学校が対応しなければならない現代的な教育課題が増大している実態に鑑み、児童生徒に対するきめ細かで質の高い教育を実現するため、必要かつ十分な数の加配教職員が配置できるよう定数を確保すること。

 

四 義務教育環境の整備に当たっては、財政面からの視点だけでなく、教育現場の声を十分反映させるとともに、実態に即した検討・議論を行うこと。

 

 右決議する。

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