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   平成二十一年度畜産物価格等に関する件

 

 平成十八年秋以降の配合飼料価格の高騰、世界的な経済不況と景気悪化による国産畜産物の需要と価格の低迷、WTO農業交渉及び各国とのEPA交渉の進展等により、生産現場では経営不安が増している。

 よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十一年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

               記

一 配合飼料価格安定制度については、同制度による補てん金の支払が農家にとって重要な役割を果たしていることにかんがみ、今後とも畜産・酪農経営の安定に寄与するよう万全の措置を講ずること。

  また、農家の負担を軽減する観点から、制度の見直しについても検討を行うこと。

二 飼料の輸入依存体質を転換し、国産飼料に立脚した畜産・酪農を確立する観点から、水田フル活用による飼料用米・稲発酵粗飼料・青刈りとうもろこし等の生産拡大、エコフィードの活用、水田・耕作放棄地への放牧等の耕畜連携を強力に推進するとともに、国産飼料の保管・流通体制の確立に努めること。

  また、国産飼料の利用拡大には、輸入飼料に対する価格の優位性等が必要であることから、飼料用稲の多収化や低コストの播種技術等の開発を推進すること。

三 加工原料乳生産者補給金単価については、酪農経営の安定を図る観点から、意欲を持って営農に取り組めるよう、再生産の確保を図ることを旨として適正に決定すること。

  また、加工原料乳限度数量については、バター及び脱脂粉乳の安定的な需給を確保する観点から、生乳の生産事情、牛乳・乳製品の需給動向等を踏まえて適正に決定すること。

四 平成二十一年三月から、飲用牛乳向け乳価が改定されることに伴い、飲用牛乳の消費者価格の上昇と需要の減少が懸念されるため、牛乳の有用性と機能性を消費者に訴えるなど、消費拡大策を強力に講じること。

五 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家の経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格の高騰などに十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適正に決定するとともに、肉用牛農家及び養豚農家の経営安定対策の充実・強化を図ること。

  また、経済状況の悪化等により、国産牛肉への需要減少が生じ、枝肉価格の低下傾向が顕著になっていることにかんがみ、消費者ニーズを的確に把握しつつ、消費拡大に向けた取組を強力に推進すること。

六 家畜の生産性向上を図るため、乳量の増加や乳質の改善、出荷頭数の増加に向けた繁殖性向上対策や事故率低減のための家畜疾病対策を強化するとともに、効率的な飼養管理技術の普及を推進すること。

  高病原性鳥インフルエンザ等悪性伝染病の侵入防止に万全を期すとともに、万が一発生した場合には早急にまん延防止の措置を講じ、その原因究明に努めること。また、生産者による疾病予防の取組に必要な支援を行うこと。

七 WTO農業交渉及びEPA交渉に当たっては、平成十八年十二月の本委員会決議の「日豪EPAの交渉開始に関する件」の趣旨を踏まえ、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、適切な国境措置等の確保に向けて、確固たる決意をもって臨むこと。

八 新たな食料・農業・農村基本計画の策定に当たっては、食料自給率の向上と安全な畜産物の安定供給を目指した生産者が意欲を持って勤しめるよう、必要な措置の在り方の検討を行うこと。

  右決議する。

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