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   平成二十四年度畜産物価格等に関する件

 

 我が国の畜産・酪農は、配合飼料価格の高止まり、畜産物の消費と価格の低迷に加え、東京電力株式会社の原発事故に伴う風評被害の発生という情勢の中で、その経営の悪化、生産基盤の縮小など、未曾有の危機に陥っている。

 また、本年四月一日から食品中の放射性物質の新基準値が施行されることに伴い、適切な対応が求められている。さらに、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加の検討やBSEに係る輸入牛肉の月齢制限等の緩和の検討に対して、懸念が広がっている。

 よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十四年度の畜産物価格の決定に当たっては、再生産を確保し将来に希望が持てる価格を実現するとともに、平成二十四年度当初予算で講じようとする関連対策について、左記事項の実現に万全を期すべきである。

                 記

一 EPA交渉及びTPP交渉参加に向けた関係国との協議に当たっては、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成十八年十二月の本委員会決議「日豪EPAの交渉開始に関する件」及び平成二十三年十二月の本委員会決議「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件」を十分に踏まえて臨むこと。

二 BSEに係る輸入牛肉の月齢制限等については、科学的知見に基づいた検証を十分に行い、拙速な緩和は行わないこと。

三 酪農家の生産意欲を喚起し、生産基盤の回復を実現できるよう、加工限度数量及び補給金単価を適切に決定すること。

四 都府県酪農について、生産基盤の強化のための対策を講じること。また、放射性物質による汚染地域における安全な粗飼料の確保に向けた支援措置を継続すること。

五 肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家が十分な所得を確保できる水準となるよう適切に決定すること。

六 指定食肉の牛肉安定価格及び豚肉安定価格については、現行価格を基本に適切に決定するとともに、相場の下落時には機動的・弾力的に調整保管を発動すること。

七 肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新マルキン)の毎月払いの継続については、枝肉価格の状況等を踏まえて引き続き適切に決定すること。

八 配合飼料価格安定基金については、配合飼料価格高騰時の補てん財源が不足することのないよう、異常補てん基金の活用などにより、生産者への補てん金を確保すること。

九 飼料穀物については、東日本大震災の経験を踏まえ、災害発生時や飼料穀物の高騰など不測の事態や急激な環境変化の発生時に畜産・酪農家に配合飼料を安定的に供給できるよう、その弾力的な備蓄の在り方について検討を行うこと。

十 原発事故に伴う放射性物質の影響により出荷できない老廃牛の滞留並びに汚染された稲わら、牧草及び堆肥の滞留について、一刻も早く対策を確立すること。

十一 食品中の放射性物質の新基準値が本年四月一日から施行されることに伴い、必要な検査体制を確立するとともに、生産対策、風評被害対策及び東京電力による損害賠償が迅速かつ適切に行われるよう措置すること。

  また、風評被害の払拭に向けて、牛乳・乳製品や食肉等の消費拡大を推進すること。

 右決議する。

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