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   平成二十五年度畜産物価格等に関する件 

 

 我が国の畜産・酪農経営は、配合飼料価格の高騰、畜産物の消費と価格の低迷、東京電力株式会社の原発事故に伴う風評被害など、これまでにない厳しい環境下にある。特に、配合飼料については、為替相場の円安傾向を背景に今後更なる価格の上昇が懸念されており、畜産・酪農経営の将来展望を一層困難なものとしている。

 よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十五年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

                 記

一 加工原料乳生産者補給金単価については、生産者の努力が報われ、意欲を持って営農に取り組めるよう、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。加工原料乳限度数量については、生乳の安定供給を確保するとともに、生産意欲の増大を図るため、適切に決定すること。

また、後継者の確保、酪農ヘルパーへの支援など生産基盤の強化を図るとともに、国産チーズの生産を拡大するための対策を講ずること。

二 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家の経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。

三 畜産・酪農の経営安定対策については、畜種別・地域別・経営体ごとの特性に対応し、十分な所得を確保できる実効ある制度として確立するため、その見直しについて検討を進めること。

四 配合飼料価格安定制度については、今後とも畜産・酪農経営の安定に寄与するよう補塡財源の確保など十全の措置を講ずるとともに、配合飼料価格が高止まりする中、農家負担の軽減を図る観点から、制度の見直しについて検討を行うこと。

五 飼料の輸入依存体質を転換し、国産飼料に立脚した畜産・酪農を確立する観点から、飼料用米・稲発酵粗飼料・稲わら・エコフィードの利用拡大、水田・耕作放棄地への放牧等の耕畜連携を強力に推進するとともに、草地更新や品種改善など国産飼料の生産基盤対策を充実・強化すること。

六 原発事故に伴う放射性物質により汚染された牧草地の除染対策と汚染された稲わら、牧草及び堆肥の処理を迅速に進めること。

  また、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むとともに、東京電力による損害賠償が迅速かつ適切に行われるよう措置すること。

七 地産地消や食育の取組を進め、国産畜産物の消費拡大を推進するとともに、諸外国に向けた国産畜産物の信頼回復等輸出促進対策を強化すること。

八 BSEに係る輸入牛肉の規制緩和に当たっては、科学的知見に基づいた検証を十分に行い、消費者の理解を得られるよう努めること。

九 EPA交渉及びTPP交渉参加に向けた関係国との協議に当たっては、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成十八年十二月の本委員会決議「日豪EPAの交渉開始に関する件」及び平成二十三年十二月の本委員会決議「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件」を十分に踏まえて臨むこと。

 右決議する。

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