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   調査捕鯨継続実施等に関する件

 

 本年三月三十一日、国際司法裁判所が、「南極における捕鯨」訴訟の判決において、我が国が実施している南極海鯨類捕獲調査事業を国際捕鯨取締条約(以下、「条約」という。)第八条一の範囲に収まらず、許可証を取り消し今後の発給を差し控えるよう命じたことは、誠に遺憾である。一方で、本判決は、右事業を科学的調査と認めた上で、科学的調査における致死的手法の使用自体は禁じておらず、我が国固有の伝統と文化である捕鯨が否定されたわけではない。

 本判決の内容は、我が国の捕鯨政策はもとより、鯨類調査研究、鯨肉流通関係並びに全国各地域に伝わる我が国の伝統である鯨食文化等に極めて甚大な影響を及ぼすものである。また、シー・シェパードなどの過激な反捕鯨団体による、極めて危険な海賊行為が、あたかも正当化されるかのような印象を全世界に与えかねず、政府の責任は極めて重い。

 よって政府は、引き続き、世界が求める海洋水産資源の持続的利用等に貢献するため、左記事項の実現を期すべきである。

               記

一 鯨類捕獲調査が有する各般にわたる重要な意義に鑑み、世界で唯一、その科学的手法及び体制を有する我が国の責務を果たすため、今後とも継続実施すること。

二 本判決に至った原因について真摯に反省するとともに、今後、調査捕鯨に関し新たな国際裁判を提訴されることのないよう、外交手段を駆使すること。

三 第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)に代わる次期捕獲調査計画の早期策定に向け、万全の準備態勢を整えること。

四 本判決で判示された基準を踏まえ、来季以降の南極海鯨類捕獲調査がその目的を達成する上で合理的であると認められるものとするため、非致死的調査の利用可能性に関する分析、目標サンプル数の算出プロセスの明確化及び科学的成果の充実等について、必要な予算を確保し、早急に対応すること。その成果を元に調査計画を変更した上で、調査を継続実施すること。

五 調査捕鯨の副産物である鯨肉については、条約の趣旨に従い、従来通り適切に流通させること。また、学校給食を始めとする鯨肉販売の公益枠については、割引販売を継続実施するとともに、鯨肉流通関係者に不安が生ずることのないよう万全を期すること。

六 シー・シェパードなどの過激な反捕鯨団体による危険な妨害行為は、昨年二月に米国高裁が認定したとおり、国際法の禁じる「海賊行為」であり、我が国国民の身体及び財産を侵害する行為として断じて容認できない。政府が妨害行為への対策を怠ってきたことが、計画に対する実際の捕獲頭数が減少することにつながり、ひいては本判決において目標サンプル数と捕獲頭数との乖離を指摘され、目的達成上の合理性を欠くことの論拠となっている。政府は、そのことを十分に自覚した上で、調査捕鯨の船団や乗組員の安全確保に責任を持つこと。

七 副産物収入で調査研究費をまかなう枠組みによる調査継続には限界があることから、国の責務として調査捕鯨を位置付け、国による安定的な財政支援を行うこと。

八 捕鯨が我が国固有の伝統と文化であることに鑑み、今後における我が国捕鯨政策については、条約からの脱退を含むあらゆるオプションを実行する決意をもって策定し、強力に推進すること。

 右決議する。

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