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   令和元年八月から九月の前線に伴う大雨(台風第十号、第十三号及び第十五号の暴風雨を含む。)による災害の被害を踏まえた災害に強い国づくりの推進に関する件

 

 

 令和元年台風第十五号は、千葉県をはじめとする関東地方を中心に長期間に及ぶ停電、それに起因する断水、通信障害など、当該地域の経済・市民生活に甚大な被害を及ぼした。また、令和元年八月の前線に伴う大雨では、佐賀県では工場から流出した油交じりの浸水が長く続くなど、大きな被害を及ぼした。これら災害による社会的・経済的被害に鑑み、今後の防災対策・強靱な国づくりをしていく必要がある。政府においては、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期するべきである。

 

一 記録的な暴風は、倒木や鉄塔・電柱の倒壊などによる大規模かつ長期間にわたる停電及びそれに伴う断水なども引き起こしたが、同様の被害を起こさぬよう、相次ぐ台風被害に対処すべく、強靱な電力供給体制の整備に当たっては、電線の地中化なども含め、計画的に進めること。

 

二 停電復旧の初動段階において東京電力による復旧見通しの情報発信の修正が大きく影響したことを踏まえ、停電等の電力障害が発生した場合に、電力の安定供給を担う電力会社が停電・復旧状況等の情報を適時適切に国民に情報提供するよう、政府は電力会社に対して適切な指導を迅速に行うこと。

 

三 台風第十五号対応では、災害時の現場の司令塔的役割を担う県庁において、被害状況の把握や市町村との災害情報の共有などの調整機能が十分に果たされなかったとの指摘があること等を踏まえ、政府は、国や地方自治体の初動対応の検証を行い、災害時における国と都道府県・市町村との責務と役割を再認識し、相互の連携強化を図ること。

 

四 台風第十五号では、暴風による住家の損壊被害が相次ぎ、一部損壊だけでも二万棟を超えており、その後の大雨による浸水被害も重なり、住家の損壊被害の深刻さが増していることを踏まえ、国は住家の被害認定調査を迅速に進めるため被災自治体への人的支援を行うとともに、被害認定調査の運用を弾力的に行うなど被災者の当面の住まいの確保と住宅再建に向けて万全の措置を講じること。

 

五 農業用ハウスや畜舎の損壊、家畜・養殖魚の死亡等の被害が発生しているため、被災農林水産業者の経営安定、営農や事業活動の早期再開に向け、最大限の支援を講じること。

 

六 大規模停電、道路の寸断や設備の損壊などの影響により、中小企業・小規模事業者は、生産・物流面で大きな打撃を受けているため、中小企業・小規模事業者の事業活動の早期の再開と、事業継続がなされるよう、資金に関する支援、相談体制の充実等、早期に最大限の支援を講じること。

 

七 成田空港では、JR・私鉄・バスの運休により、一万人を超える利用者が足止めとなったことを踏まえ、海外からの玄関口である国際空港について、来年に控えるオリンピック・パラリンピックで観客の輸送について同じような事態が生じることのないよう、災害時における鉄道アクセス網等の強靱化を図ること。

 

八 佐賀県では低平地など地勢の特殊性により広範囲にわたる浸水被害が発生したことを踏まえ、政府は、防災・避難体制の強化を含めた国土の強靱化を進めるとともに、中小企業・小規模事業者の事業継続の強化について必要な施策を講じること。

 

九 県及び市町村が行う応急対策や災害復旧等に多額の経費を要するため、特別交付税の配分、災害復旧事業及び災害関連予算の確保に特段の配慮をすること。

 

 右決議する。

 

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