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持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件

 

 厳しい地方財政の現状を踏まえ、地方公共団体が必要な行政サービスを安定的かつ効果的に提供していくためには、持続可能な地方税財政基盤の確立が不可欠であることに鑑み、政府は、次の諸点について措置すべきである。

 

一 地方公共団体が、人口減少の克服、地域経済の活性化、公共施設等の老朽化対策等の重要課題に取り組んでいくためには、地域の実情に応じた自主的かつ主体的な取組を長期間にわたって実施していく必要があることに鑑み、平成三十一年度以降も地方公共団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額が、予見可能性を持って安定的に確保されるよう、全力を尽くすこと。

 

二 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含めた抜本的な見直しを検討し、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない持続的な制度の確立を目指すこと。また、基準財政需要額の算定については、地域の実情に十分配慮するとともに、地方交付税の財源保障機能を適切に確保すること。

 

三 地方公共団体の基金については、それぞれの団体が、将来の歳入減少や歳出増加への備えとして積立てを行っており、その財源は行政改革や経費削減等により捻出されているものであることに鑑み、その残高が増加していることをもって、地方交付税等の財源を一方的に減額しないこと。また、住民への説明責任を果たす観点から、基金の考え方、増減の理由、今後の方針を含め、各団体に財政状況に関する公表内容の充実を要請し、公表内容の「見える化」の促進について検討を進めること。

 

四 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。また、減収が生ずる地方税制の見直しを行う場合には、代替の税源の確保等の措置を講ずるほか、税負担軽減措置等の創設や拡充に当たっては、真に地域経済や住民生活に寄与するものに限られるよう、慎重な対処を行うこと。

 

五 個人住民税における控除の在り方については、住民が公平感を持って納税することができるような税体系の構築を目指して不断の見直しを進めること。

 

六 地域の実情に応じた行政サービスを地方公共団体が将来にわたり提供することができるよう、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築のために、一層の検討を進めること。

 

七 ふるさと納税制度に関しては、制度の趣旨に沿った「ふるさと」への寄附となるよう、引き続き検討を行うこと。

 

八 巨額の借入金に係る元利償還が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることも踏まえ、臨時財政対策債を始め、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、万全の財源措置を講ずること。

 

九 地方債については、財政力の弱い市町村が円滑に資金を調達できるよう、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うなど円滑な起債と流通、保有の安全性の確保を図ること。また、地方債の発行に関する国等の関与の在り方については、協議不要基準の緩和等による地方財政の健全性への影響に留意しつつ、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、運用を含め、更なる検討を進めること。

 

十 東日本大震災の被災地方公共団体に対しては、その復旧・復興事業の更なる加速化を図るため、引き続き、所要の震災復興特別交付税額を確保する等万全の支援措置を講ずること。また、近年、熊本地震を始め、台風、集中豪雨、火山噴火、豪雪等の住民生活の安全・安心を脅かす自然災害が多発している状況を踏まえ、消防・防災体制を充実・強化するための十分な財源を確保すること。

 

右決議する。

 

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