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過疎対策の推進による過疎地域の自立促進に関する件

 

 過疎地域は、引き続く人口減少と著しい高齢化に直面し、財政状況も厳しく、農林水産業の衰退、維持・存続が危ぶまれる集落の発生、身近な生活交通の不足、地域医療の危機など、住民生活にかかわる様々な課題が生じている。

 一方、過疎地域は、安全・安心な食料や水の供給、エネルギーの提供、国土の保全、災害の防止、地球温暖化の防止等はもとより、都市住民へのやすらぎや教育の提供の場として、当該地域の住民の福祉の向上のためのみならず、国民全体の安全・安心な生活を支える極めて重要な公益的機能を有している。

 過疎対策の推進に当たっては、過疎地域が有するこれらの公益的機能について、過疎地域以外の都市部等の住民を含む国民全体が適切に認識し、積極的に評価した上で、過疎問題の解決を国民全体の課題と捉え、実効性ある対策を切れ目なく講じていく必要がある。

 こうした現状認識にかんがみ、今般、本委員会は過疎地域自立促進特別措置法の失効期限について六年間の延長を行うとともに、平成十七年の国勢調査の結果に基づく過疎地域の要件を追加するほか、いわゆるソフト事業に対する支援措置の拡充を図ること等を内容とする過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案を提出することとした。

 以上を踏まえ、政府は、過疎対策の推進に当たって次の事項の実現を図り、過疎地域の自立促進に万全を期すべきである。

一 過疎地域を中心に集落の高齢化が進行するとともに、集落機能の維持・存続が危ぶまれる集落が増加し、これらの集落において、相互扶助機能の低下、身近な生活交通の不足、空き家の増加、森林の荒廃、耕作放棄地の増加などの課題が深刻化していることを踏まえ、集落の現状と課題を十分に把握しながら、各集落の実態に即して、住民の安全・安心な暮らしを確保する事業の実施や、集落を支援する人材の育成・確保など、きめ細かな集落の維持及び活性化対策がこれまで以上に積極的に講じられるようにすること。

二 各地域の実情に応じた主体的な取組を最大限尊重すること。

三 過疎地域が、豊かな自然環境、再生可能なクリーンエネルギー、安全な食糧、歴史文化資産といったそれぞれの有する地域資源を最大限活用して地域の自給力を高めるとともに、国民全体の生活にかかわる公益的機能を十分に発揮することで、住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の実現を図ること。

四 過疎地域の置かれた現状を踏まえ、今後は特に、地域医療の確保、就業機会の創出、生活交通の確保、情報通信環境の整備、子育ての支援、地域間交流の促進等が積極的に実施されるようにすること。

五 今般の法律案については、過疎地域からの要望を踏まえ、過疎対策事業債の対象を拡充し、地域医療の確保、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、集落の維持及び活性化など、住民の将来にわたる安全・安心な暮らしを確保するために実施するいわゆるソフト事業についても対象としたところであり、その趣旨を踏まえ、制度の運用に当たっては、次の事項について特に留意すること。

 1 過疎対策事業債については、引き続き所要額を確保するとともに、特にソフト対策に係る資金の確保・充実に万全を期すこと。

 2 過疎地域の実情に応じた主体的かつ創意工夫に富んだソフト対策の取組を十分尊重すること。

六 過疎地域の厳しい現状を十分に踏まえ、実効性ある過疎対策を行うため、本法律施行後速やかに総合的かつ抜本的な検討を開始し、施行後三年を目途として、その検討結果や平成二十二年の国勢調査の結果、地方分権改革の進展状況等を勘案し、必要な措置を講ずること。

 右決議する。

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