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昭和二十四年四月六日提出
質問第五号

 税務代理士法違反に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十四年四月六日

提出者  川上貫一

     衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




税務代理士法違反に関する質問主意書


一、三月二十八日大阪檢察当局は、税務代理士法違反のかどで生活権擁護同盟員五名を逮捕したが、市内五警察に大がかりな搜査本部を設け、今日まで同盟員五百名以上の喚問取調を行い、税金には何ら関係なき左の如き事項を取り調べている。
 1 お前は共産党員か
 2 お前はいつ入党したか
 3 共産党にいくら金を出したか
 4 共産党が金銭を強要せぬか
 5 同盟にいつ加入したか
  これは明らかに政治的意図を持つ不法な彈圧であり、違憲である。政府はこれに対しいかに考えるか。
二、三月二十二日午後大阪市城東区生活権擁護同盟事務所を武裝警官八十名で包囲し、家宅搜査を行つた事実があるが、税務代理士法違反などの搜査としては、余りに大がかりであつて、市民の各層が自ら組織したところの、税金に限らずすべての生活権を自発的に擁護するを目的とする民主的團体に対し、官憲による全く必要以上の脅迫と威圧とを加えている不穏当極まる行爲である。政府はこれをいかに考えるか。
三、税務代理士法は、同法第一條により税に関して「…代理を爲し若は相談に應ずるを業とす」る者に関する法律で、これを「業」としない者に対して適用さるべきものでないことは勿論であるが、大阪檢察当局は單なる個人といわず、社会事業家といわず、同業組合の世話人といわず、すべて税金に関する相談に應じた者は代理士業務とみなすといつているが、政府はこれらの税金相談ですら全部違法として禁圧するものであるか。
  今後一般市民はいかに不当な更正決定を設けた場合にも、何人にも相談すらできないのみならず、異議申立等の法規、手続に関してほとんど知識のない一般市民は、税務代理士に依(注)すれば、多額の料金を請求され、又代理士の数は極めて少い。從つて税問題に関しては市民はいかなる場合でも泣寢入り以外にない。これは事実上において人民の権利を抑圧するものたるは勿論、納税に対する善良なる人民の意志を國家自ら破壞するものである。この点に関し政府はいかに考えるか。
四、税務代理士法は昭和十七年二月二十三日の法律であつて、その本旨は税務代理士業を保護するためのものである。從つて制定以後この法律違反問題が起つた例がないのである。しかるに今日、急にこの法律を全國にわたつて適用し廣汎に檢挙者を続出させているが、これは現在の税が担税力以上の極端な重税であるばかりでなく、不法なデコボコ課税を強行しつつある証拠であると同時に、それに対する人民の異議申請を全面的に彈圧するために用いている証拠である。これに対し政府はいかに考えるか。
五、このような法律は新憲法下当然廃止さるべきであると思うがどうか。
六、本件取調に当り、大阪檢察当局は、業者に対して現在被疑されている行爲を、向後やらないことを誓約すれば釈放すると言つているが、このような事実は、全く人民に対する不法な抑圧であり、違憲であると思うが、政府はいかに考えるか。

 右質問する。





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