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昭和二十五年二月八日提出
質問第三五号

 三菱電機株式会社と兵庫警察署との結託による労働運動彈圧事件に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十五年二月八日

提出者  春日正一

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




三菱電機株式会社と兵庫警察署との結託による労働運動彈圧事件に関する質問主意書


一 全日本金属労働組合三菱電機神戸分会の組合員藥師寺外三名は、一月十八日ガラス四枚を破損したとの理由で兵庫警察署に検挙されている。分会幹部と警察との交渉の結果、警察側は「逮捕の理由は不法監禁や暴力行為ではなく、器物破損である。」と回答しているが、壞われたのは窓の扉のガラス四枚とベニヤ板の衝立が倒れて穴が開いた以外の損害はない。しかも逮捕の際、疊の下まで家宅捜索を行つている。
二 ガラスその他が破損するに至つた経過は一月十一日晝食時間機械工場その他の組合員約百名が、三菱電機神戸製作所本館二階の所長室前廊下に集つて、分会執行委員とともに、かねて懸案になつている職階制反対の争議で集団欠勤の十六名の出勤停止処分を撤回する要求と賃金前借の陳情とを所長と交渉しようとして会社側に拒否された。この会社側の行為に憤慨して午後二時頃は千数百名の組合員が本館の内外で喚声やら労働歌で気勢をあげたが、四時すぎに執行部の靜止によつて労働者は一応解散して職場に帰つた。しかしこの間、所長室前の廊下で最前方にいた者が後方から強く押されたため、肩、肘が所長室扉のガラスにあたつて、これが破れ、扉が開いたため前方へのめつた者がベニヤ板衝立の上に倒れかかり、ベニヤ板が割れた。これらはいずれも偶然の結果であり、交渉委員以外は所長室に入室しないように、充分努力していても、後から押されて避け得なかつたものである。
三 当時より会社は兵庫署の私服数名(本人が名乘つている。)を附近に配置していたが、その直後、蠣田所長以下会社幹部、正木勤労課長等が警察と組合の彈圧について協議し、酒食を饗応して結託した。組合の「見張り」が六時すぎ酒を呑んでいる所長室から二名の私服が出て、兵庫署四五番の自動車で立ち去つたことを確認しており、その直後会社側と面接した交渉委員は、会社幹部がめいていし、特に三谷副長は頭をかかえて席に堪えぬほど酔つていた。
四 この饗応の後で十八日早朝検挙が行われ、会社はこの彈圧を利用して計画的に二十一日に十六名の懲戒解雇を通告してきた。争議行為についてかような責任追及は明らかに不当労働行為であるのは勿論である。
  二十二日は日曜、二十三日月曜以降兵庫署は、トラックによつて多数の武裝警官を出動させて、会社側と一体になつて解雇通告者の入場阻止を強行し、全く警察官による労働運動の非民主的な脅迫と彈圧とが行われている。ガラスを壞しただけの理由で逮捕するのに、疊をあげ、押入までひつくりかえして家宅捜索を行つている。

  右の事実に基き
(一) 労資紛争中に偶然発生した小さな事故を理由に直ちに警察力を発動させることは、結果において労働組合を彈圧し、資本家を助けることになる。従つてかかる場合の処置は紛争解決の後に公平に行うべきであると思うがどうか。
(二) 検挙に際し、家宅捜索を行つているが、これは明らかに職権濫用であると考えるがどうか。
(三) 事前に私服警官を数名派遣している事実は、明らかに事件を挑発し、彈圧の機を作らんとしていたものと考えるがどうか。
(四) 争議中一方の当事者たる会社と警察が会食した事実は重大なとく職行為であり、嚴重に処罰すべきであると考えるが、これに対する政府の処置如何。
(五) 解雇通告者の入場を警察力によつて阻止しているが、労資紛争中で解雇の正当性も立証されない時に、かかる行為に出ることは明らかに違法であると考えるが、これに対する政府の処置如何。
(六) 以上総括してみるに、かかる行為は極東委員会の日本労働組合に関する十六原則に違反するものであるが、将来かかる行為を起さぬよう当局はいかなる措置をとらんとするか。

 右質問する。





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