質問本文情報
昭和二十五年十二月十六日提出質問第五三号
日米漁業協定に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和二十五年十二月十六日
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
日米漁業協定に関する質問主意書
昭和二十五年十二月十四日産業経済新聞には『アメリカと日本との漁業協定考慮』との見出しのもとに、共和党のガイゴードン上院議員(オレゴン州選出)は、十二日国務省は日米間の漁業に関する取きめを考慮中であると次のように言明した。「国務省から私が得た情報によれば、米国の北西部沿岸地方に関連の深い太平洋の漁業に関する日本との協定草案が目下国務省で検討されている。国務省では、これについて北西部の漁業関係者に説明したいと希望しており、早急に漁業者会談が開かれることになろう。この協定では、おそらく日本漁業が米国、カナダ水域に入ることを禁上すると同時に、米国、カナダの漁業者が日本近海に入ることを禁止するものとなるであろう。」又この問題に対する水産庁見解として次のように報じている。
日米漁業條約に関する改訂に対し、水産庁では正式條約が結ばれるのは現在のマツカーサー・ライン開放後行われるものとみており、また取きめに当つては、日本政府からも具体的資料を提出されるはすであるが、目下のところ民間団体(海洋漁業対策委員会)や業界が中心となつて條約を前提とする研究が進められている。改訂によれば、日米両国とも沿岸漁業を禁止するようであり、これについては前水産庁長官※(注)山太※(注)氏や国会水産委員等がこの夏渡米し、アメリカの太平洋沿岸漁業者協会首悩部と打合せを行い、去る九日帰国したが、沿岸禁止漁場は、百二十マイル以内を指すものとみられる。これは戰前日本の一部業者がアメリカ、カナダ沿岸のさけを濫獲したため、アメリカ側では資源維持を確保する措置としてとり上げているようだが、水産庁としてはこの種の條約が他国にも波及して、朝鮮、中国、南方諸国に発展すれば、日本側の不利になるので、今後愼重に検討したいといつている。」
前水産庁長官※(注)山氏は、何の資格で、どのような使命をうけて渡米したのか。又同行の国会水産委員はだれだれで、公的使命を帶びての渡米か。又この種の内容の協定に関しては水産庁の見解如何。
又この日本側に不利な協定に関しては、水産庁としてはどう日本側の利益を守つてゆくつもりか。
右質問する。