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昭和三十二年四月十九日提出
質問第三号

 損害保険株式会社の責任準備金の性質及び帰属に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十二年四月十九日

提出者  春日一幸

          衆議院議長 (注)谷秀次 殿




損害保険株式会社の責任準備金の性質及び帰属に関する質問主意書


一 責任準備金は、保険会社が保険契約上の責任を果すため収受した保険料のうちから積立てるものであり、保険理論上生命保険の場合には未経過保険料と保険料積立金とからなるが、損害保険の場合には未経過保険料のみからなるものとされている。
  責任準備金に関しては、保険業法第八十八条の規定があり、保険会社はその積立を強制されているが、この責任準備金という用語は、商法第六百八十条第二項及び第六百八十二条に規定する「被保険者ノ為メニ積立テタル金額」並びに保険業法第三十二条及び第三十三条に規定する「被保険者ノ為二積立テタル金額」に相当するものであることは明らかである。
  しこうして保険会社は保険契約の全部の移転を決議して会社を解散することもでき(保険業法第百八条及び第百十一条)、また保険会社が他の事由によつて解散した場合でも、保険契約の移転をなすことを認められているが(保険業法第百十九条)、これらの場合には、責任準備金に相当する財産の移転が行われることになつている。このことは、保険契約の移転が主務大臣の命令によつて行われる場合においても同様である(保険業法第百条、第百二十一条及び第百三十七条)。なお会社の解散に当り、保険契約の移転が行われない場合には、保険会社は未経過保険料を被保険者に払戻すこととされている(保険業法第百三十四条第二項)。以上の諸規定を総合勘案するときは、責任準備金は形式的には保険会社の所有に属するが、いわゆる株主勘定に属するものでなくして、被保険者勘定に属するものと認めるべきであるから、立法的にこの趣旨を明確化すべきものと考えるがどうか。
二 責任準備金は、損害保険の場合には未経過保険料のみからなるものとされている。
  しかしながら損害保険の責任準備金中には、とくに異常災害の発生に備えるための過去から累積された異常危険準備金をも含んでいるので、責任準備金と未経過保険料とは必ずしも一致せず、むしろ前者が後者より多いのが通常である。
  従つて、仮に会社がこのような現状において解散した場合には、保険業法第百三十四条第二項により未経過保険料を払戻しただけでは、なお責任準備金に残余を生ずることが予想される。しかし、本来責任準備金は被保険者勘定に属するものと認むべきであるから、この場合、その残余を残余財産として株主に分配させるべきではなく、これを被保険者に払戻すよう立法的に解決すべきではないか。何となれば、異常災害がないものと仮定すれば、ことに過去から累積された異常危険準備金を考慮に入れるときは、保険料は本来引下げらるべきであつたと認められるからである。
三 責任準備金の運用利益は、責任準備金の性質にかんがみ、一定範囲を限り、当然これを保険料引下げのための資源に充当すべきが至当と認めるが、この趣旨を立法をもつて明確化する意思がないか。

 右質問する。





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