衆議院

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昭和四十二年三月十四日提出
質問第二号

 台湾産バナナ輸入取引に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十二年三月十四日

提出者  春日一幸

          衆議院議長 石井光次郎 殿




台湾産バナナ輸入取引に関する質問主意書


 現在、台湾産バナナの輸入については、輸入貿易管理令により輸入割当て品目に指定されており、台湾産バナナの輸入業者は、同令第九条の輸入割当てを受けなければならないことになつている。
 台湾産バナナの国内需給状況は、現在までのところ常に供給不足で、いわゆる売手市場となり、近い将来においても、その状況に変化はないものと考えられる。そのうえ年間輸入数量は、約七百八十万かご、輸出価格は一かご七米ドル又は八米ドルと定められている。
 台湾側において、昭和三十九年度から輸出契約を結ぶ相手側としての日本の輸入業者の選択が、これまでの実績主義から台湾側が自由に選択できるように変更したため、台湾の輸出関係者は、日本の国内において自己の分身として多数の輸入商社(いわゆるダミー)を設けてこれらと輸出契約を結び、実質上輸出業者と輸入業者を兼ねて日本国内における流通面に支配力を伸ばし、日本の国内価格及び取扱量に次第に大きな影響力を持つようになつたのである。従つて日本国内の輸入業者は次第に排除され、また、国内における輸入取引秩序が混乱させられた。このような事情のもとで日本の輸入業者が相当まとまつた数量の輸入契約の成立をさせようとする場合には、相手側からリベートを要求されることともなり、その結果、関税法及び外国為替管理法違反、さらに所得税又は法人税の脱税等を招くようなこととなつた。
 さらに日本の輸入業者は台湾側との取引において一社の名儀で大量に契約を成立させると裏取引が存在すると推定されることを避けるため、あるいは輸入組合結成後の発言権の拡大と均等割当ての獲得のため等の理由から輸入契約数量を分散するために名目上のいわゆるダミー商社を設立してこれらに輸入割当てを受けさせていた次第である。
 このような混乱した業界のあり方の当然の帰結として、従来から真面目に営業をしていた国内の業者は、法令違反を犯さない限り総輸入数量が年々増大しているにもかかわらずその取扱い数量は漸減の方向をたどり、まさに抹殺されようとする状態に立ち至つた。
 このような状態を是正するため、昭和四十年六月輸入組合が結成され、行政面においても、もろもろの方策が考究されているようであるが、いまだ十分な成果をあげていない現状である。このような状態を放置しておくことは、国内の真面目な業者の存立を危うくし、かつ輸入取引秩序の混乱と腐敗をさらに深めることともなるのであるから、健全な輸入業者を維持し育成するため適切な行政措置を講じなければならないものと考える。
 よつて、次の諸点について政府は、いかなる見解のもとにどのような方策を講じようとするのか明らかにされたい。

一 少量割当て輸入業者の保護育成について
 (1) 政府は、年間輸入割当て量がおおむね一万かご以下の業者に対して輸入業界の整備の名のもとに合併ないし営業権の譲渡の指導ないし勧告を行なつており、輸入割当ての停止ないし保留をほのめかすことによつてその実をあげようとしている。これに応じて消え去つた業者もあるが、流通秩序の確立のために必要なことは、後述のペーパー業者及びダミー商社を整理することであつて流通秩序の整備に名を借りて輸入業者としての実績と実態をそなえている業者を輸入割当て量が少ないがゆえに整理をすることではないのである。後述するごとく、台湾産バナナの輸入業界においては、バナナの市場価格の安定ないし引下げのため相対的に多数の業者の存在が必要なのであり、製造工業におけるごとく、規模の利益が存在しない事業なのである。従つてペーパー業者ないしダミー商社の整理を促進するためにも、業者としての実績と実態をそなえている中小取扱数量の業者に対して事業体質の改善のため積極的に育成と指導を行ない、事業をまともに行なおうとする業者を育てることによつて流通秩序の確立を図るべきであつて、割当て量の多少によつて整備の対象とすべきではないと考える。
     旅行者、留学生その他社会通念上輸入業を営む者であると考えられず明らかに利権あさりである個人、法人は、これらの行政指導を受け入れて輸入業者たろうとする気概と準備を持たないものであるから体質改善の行政指導を進めてゆけば次第に脱落してゆくものと考えられる。かかる観点からみて、政府として業者の体質改善と育成のため行政指導を進めるための方策を講ずべきであると考えるが、そのための方策があるのかどうか、その方針と内容を明らかにされたい。
 (2) 現在台湾産バナナの輸入業は、免許制ないし許可制がしかれていないのであり、輸入割当て制度は、貿易上の見地から行なわれているのであつて事業の監督規制とは直接的に関係のないものと考えられるのであるが、輸入割当への保留ないし停止が行なわれるとこれまで実績がある業者であつても、ただちに死命を制せられることとなるのであつて輸入割当て行政の影響するところははなはだ重大であるといわなければならない。このような事情にかんがみ、輸入割当てを行なうに当たつては、真に公平、妥当な行政が行なわれることが特に必要であると考えられる。輸入割当てを利用して中小業者の整理をするような行政が行なわれるべきではないし、また、そのような行政が行なわれることはないと確信するが、この点についての政府の見解はどうか。
 (3) いわゆるペーパー業者は、輸入業者であるとはいいがたいものであり、整理すべきはもちろんであるが、ここで問題となるのは、ぺーパー業者と非ペーパー業者との識別が現象的に困難であることである。従つてペーパー業者の整理に名を借りて輸入業者としての実績と実態をそなえながら取扱い数量が少ないため整理されかねないおそれがあることである。ペーパー業者の判定に当たつては、業者の実態を総合的に判断して慎重を期せられたい。
     また、自由化後台湾側に輸入業者選択権を握られていたため、裏取引を拒否した者は、相対的に取扱い量が減少せざるを得なかつたという業界のあり方に問題があるのであつて、現在取扱い量の少ない業者の中には事業拡大の意欲に燃えながらも、法令違反を犯してまで事業拡大をしようとはしなかつた業者が多数存在するという事実を認識のうえ業界秩序の確立を図られたい。輸入業者の企業の形態及び輸入の形態は、次のような要件に該当することとなるようおおむね、六箇月ないし一年位の期間をかけて業者に対する指導と育成をし、これをとおしてペーパー業者の整理をすることが適当であると考えるが、政府の見解はどうか。
    輸入業者としての要件
 (イ) 企業の形態
     自己の所有又は自己名儀による賃借に係る営業所を有し、バナナ輸入業務を遂行するに足る資格と能力を有する代表者がおり、かつ、専従の役職員を一名以上おき、及び納税義務を全うしているものであること。
 (ロ) 輸入の形態
     自己名儀の輸入割当てに基づき、自己の名及び自らの計算において輸入業務を行なうこと。
二 営業の規模及び輸入割当てについて
  昭和三十八年四月以前の輸入自由化前においては、輸入商社二百数十社、自由化後は七百数十社が存在していた。一昨年輸入組合結成に際しては、これらの業者の大部分が組合に加入した。
  現在輸入秩序の改善という名目で業者の整理統合が行なわれつつあるが、これは、輸入業者の体質改善あるいは規模の利益の見地からのものではない。輸入商社であるため、製造業のごとく、取扱数量をふやし、規模を拡大したからといつて必ずしも生産性が向上し、コストが低下するものではない。むしろ年間総輸入量が限定されている現在では、一社の取扱数量が大きくなればなるほど市場における価格支配力が強くなり、ただでさえ売手市場である現状のもとでは価格操作を容易にし、小売価格を引上げる大きな要因となるのであり、また、現にそうなつているのである。価格安定ないし引下げを実現するためには、輸入業者の数も相対的に多数とし、かつ、一社の取扱数量が数十万かごに達するような大口輸入業者が存在しないようにすべきである。従つてこの際、輸入割当てを行なうに際しては、一社の輸入割当て量の最高限度を現状より相当程度引下げるべきである。ダミー・ペーパーを整理し、そのうえで輸入割当てを真に輸入業者としての実態をそなえる者に対し、公平に行ない、業界の安定と秩序の確立を図るべきであると考える。この点についての政府の見解及び対策を明らかにされたい。
三 ダミー業者の整理
  ダミー業者には次のような形態がある。
 (イ) 自社の社員又は親族を代表者とする法人又は団体を作り資本もすべて親会社が出しているもの
 (ロ) 団体構成員の個人を輸入業者として仕立て、その割当てはすべて団体で処理しているもの
 (ハ) 自社販売先加工業者の名を借り、これを別の輸入業者として仕立て割当てを取得しているもの
 (ニ) 業界に全く関係のない法人あるいは個人名を借り、輪入業者として割当てを取得し、わずかの名儀料を支払つているもの
     これらのダミー業者は、割当て取得のための手段として設けられたものであつて、親会社又は団体において、印鑑等を所持し、輸入業務、輸入組合員としての議決権等いつさいの実権を握つており、全くの分身であつて、これらのダミー業者が存在することは業界秩序の確立のためには全く有害無益であり、すみやかに整理すべきであると考える。そのためにはいかなる措置を講ずることが適切であるか政府の方策を明らかにされたい。
四 不良業者の排除
  台湾産バナナの輸入に当たつて、外国為替管理法違反、関税法違反等が発生した。これらの法令違反と輸入割当てとは必ずしも行政目的を同一にするものではない。しかし、従来は、法令を遵守していた限り、事業の拡大は著しく困難であつたし、法令違反をした者に限つて事業を拡張することができ、その状態が現在まで維持されているという現状にかんがみ、これを是正するため、これらの不良業者に対しては、輸入割当てについて、なんらかの措置をとることが必要であり、かつ、適当であると考えるのであるが、これに対する政府の見解及びとるべき措置はどうか。

 右質問する。



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