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昭和四十三年一月三十日提出
質問第二号

 台湾産バナナ輸入割当て方式に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十三年一月三十日

提出者  (注)本三郎

          衆議院議長 石井光次郎 殿




台湾産バナナ輸入割当て方式に関する質問主意書


 現在、台湾産バナナの輸入については、輸入貿易管理令第三条及び第九条に基づき輸入割当て制度が実施されている。政府は、右の輸入割当ての実施に当たつては、昭和三十八年度及び昭和三十九年度の二年間を基準期間として採用し、その間における輸入業者のいわゆる実績を基準として輸入割当てを行なつている。
 一昨年末、表面化してきた台湾産バナナの輸入取引にまつわるいわゆる黒い霧問題について考えてみるに、当業界に黒い霧が現在に至るまでなお引いている影を断ち切り、また、将来においても、再びこのような事態が発生することを防止するためには、少なくとも、経済施策としては、すみやかに、現在の実績に基づく輸入割当て方式に改善を加えることが必要である。
 この際、諸般の事情にかんがみ、次の理由により、輸入割当て方式としては、差し当たり、実績に基づく割当て部分と均等割当て部分とを混合した方式による輸入割当て方式を実施することが適切であると考える。政府は、今後の輸入割当てにおいて台湾産バナナ輸入取引の正常化と輸入秩序の安定を図るため、右の新しい割当て方式を実施する意図があるかどうか。実施する場合においては、いかなる内容の方式とするかについて具体策をあわせて明示されたい。

(一) 現在の輸入割当て方式の基準となる昭和三十八年度及び昭和三十九年度の実績の内容に問題がある。このことは、昭和四十二年三月十四日に提出した質問主意書において指摘し、同年三月二十八日の内閣の答弁書においても、認めているところであるが、その要点を要約すると次の諸点である。
    すなわち、台湾の中華民国政府は、台湾産バナナの輸出について許可制をとり、台湾側輸出業者のオフアーを必要とすることとし、これを当該輸出業者の自由選択にゆだねた。台湾産バナナの日本の国内市場は、売手市場であるため、業界に次のような事態の発生を招くこととなつた。すなわち、日本の輸入業者のうち、ある者は、オフアー獲得のため、台湾側業者とその他関係筋へのリベート等の財源獲得の必要上、手段を選ばず、外国為替管理法違反、関税法違反、所得税又は法人税の脱税等をあえて行なうことによつて輸入数量の拡大を図るようになつた。その結果、過当競争と外貨損失、不公正競争等の弊害が目にあまるものとなつてきた。また、台湾側の輸出関係者においても、この間の事情を利用して日本における流通利益を得るため、自己の分身(ダミー)である商社を日本に輸入業者として設立し、実質上の同一人が台湾の輸出業者と日本の輸入業者等を兼ねることにより、流通利益を確保するとともに、日本の国内輸入市場に支配力を伸ばし、日本の国内価格及び取扱量に次第に大きな影響力を持つようになつてきた。これが台湾側のダミー商社の実態である。また、台湾産バナナの国内市場が売手市場であることから輸入すれば必ずもうかるという状況であるため、輸入権のみを獲得しこれを売ることによつて利益を得ようとする利権屋的輸入業者なるもの(ペーパー業者)が発生横行することともなつた。これらの状態がいわゆる黒い霧が発生することとなつた土壌である。
    昭和四十年以降政府が実施している割当て方式の基準となつている実績の内容は、右のような状態であつた時期の実績である。正常な企業努力の結果、獲得した実績であると評価する訳にはゆかないものを多分に包含しているのである。政府は、これを基準として輸入割当てを行なつているので、その後輸入総数量が増大するに伴い、大手業者と中小業者の取扱量の格差は、全体に占める割合には変化はないとしても、取扱い数量の格差はますます拡大される結果となつてきたのである。このような過去の不合理な実績に基づく数量割当てが温存され、かつ、輸入総数量の増大とともにその格差が拡大された形で存続してゆくという方式によつて輸入割当て行政が実施されているということについては、再検討の必要があると考えるべきが当然である。

(二) 昭和四十年十月一日から昭和四十一年九月三十日までの一箇年間の割当実績七百八十万かごについてみると、輸入業者二百六十社のうち、大手十三社でみると約二百万かご、大手三十七社でみると約三百九十万かごを取り扱つている。年間総輸入量が限定され、かつ売手市場を形成している現在、取扱数量が少数の者に集中すればするほど市場における価格支配力は強くなり、価格操作を容易にするものである。この数年間に台湾産バナナの輸入総数量が倍増以上となつているにもかかわらず、小売価格はそれほど安くなつていない。正常な企業努力の結果をあらわしているものと評価することのできないような実績に基づく現在の割当方式において一社数十万かごに達するような大口輸入業者が存在することは正常な価格形成及び小売価格の引下げという点から考えても好ましいものであると考える訳にはゆかない。
    また、輸入業者の体質改善あるいは規模の利益という視点からみてある程度以上の取扱い数量がなければ企業の生産性からみて合理的でないという点が考えられるが、当業界は、格別の固定設備及び多数の従事者を必要とする事業でない関係上取扱い量を増大すればするほど生産性が向上するという事業ではないという点からみても、大口輸入業者の存在意義は、特にないといつても過言ではない。台湾産バナナの輸入が完全に自由化されれば別として、輸入割当て制度が実施されている間においては、一社に大口割当てを行なうことについては、再検討する必要がある。
    右に述べたところからいわゆる「黒い霧」ふつしよくのため、及び台湾産バナナ輸入業界に対し合理的な経済施策を実施するため、抜本策ではないが、差し当たり、次の割当て方式を実施することが適当であると考える。これについて政府の所見はどうか。
 (イ) 昭和四十一年十月一日から昭和四十二年九月三十日までの実績割当て七百八十万かごについては、今後も当該年度輸入総数量のうち、七百八十万かごに相当する数量については、当該実績割当てによる。
 (ロ) 当該年度の輸入総数量のうち、七百八十万かごをこえる部分の数量については、当該割当て時における割当てを受けるべき輸入業者に対して均等に割当てを行なう。
 (ハ) 当該年度の輸入総数量のうち、必要に応じて分割して割当てを行なう場合は、前記(イ)(ロ)を合計して得た割合に基づいて、そのつど割当てを行なう。
 (ニ) 特別調整割当てによる実績は、今後の割当てに際しては、実績として取り扱わない。

 右質問する。





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