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昭和四十四年四月二十五日提出
質問第六号

 養鶏振興に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十四年四月二十五日

提出者  小澤貞孝

          衆議院議長 石井光次郎 殿




養鶏振興に関する質問主意書


 政府の農産物の需要と生産の長期見通し(昭和四十三年十一月)によつても明らかなように、昭和五十二年度の鶏卵総需要量は、昭和四十一年度の一・八倍、約二百万トンと推定されている。しかも、貿易自由化のなかで卵価は過去十年間安定するなど生産性をあげてきた。特に、最近は、総合農政が唱えられるなかで養鶏は特に重要であると考えられるので、次の事項につき政府の見解を伺いたい。

(一) 鶏卵輸入抑制について
    昨年度は、液卵のみでなく殼付卵さえ輸入され、専業養鶏農家を極度に不安ならしめている。輸入抑制のため次のことを実施すべきであると思うがどうか。
 (イ) 液卵輸入は、昨年度は前年度の二倍の二万トンに達し、鶏卵生産量の一・五パーセントに上つた。マヨネーズ原料が三パーセントで、おうおうにして時期的ながら卵価を動揺させることを思えば、現在の一・五パーセントを微量として必ずしも軽視してよいとは限らない。極力輸入を抑制すべきである。
 (ロ) また、特に、中国産鶏卵については厳に輸入を阻止すべきである。
 (ハ) 国は、別項(二)の液卵施設を二箇所設けることとしたが、これを全国に普及して液卵産業を育てることにより液卵輸入の防止にも資することができるようにすべきである。
(二) 鶏卵出荷合理化施設の普及について
     政府は、この施設を本年度モデル施設として全国二箇所設けることとしているが、この施設で格付け、包装、加工処理を行なえば、全国各地よりこの施設設置の要望がはげしくなることは必至である。よつて、次のように至急対策を講ずべきであると思うがどうか。
 (イ) 都市、大消費地近郊のみでなく、地方養鶏地帯にもこれを普及させるためには、本年度政府で実施しようとする三十万羽、三千五百万円の施設では大規模すぎる。十万羽程度の養鶏団地にもあうようにし、全国各地に設置できるようにすべきである。
 (ロ) 流通コストの上昇を防ぐため、補助金を大幅に増額して、各地の要望にこたえるとともに、都道府県も国と同額の補助を出すよう指導すべきである。
 (ハ) また、この施設の施設者の自己資金には制度資金融資を講ずるとともに、政府の利子補給を行なうべきである。
(三) 制度資金貸付け限度額の引上げと担保条件の緩和について
    生産性を向上するため、経営規模の拡大は至上命令である。
    専業養鶏農家は安定経営を欲するならば、少なくとも二万羽飼育見当を目標とすべしという意見が増加しつつある(協業は構成員一人当たりが右に相当するとみる。)とすれば、一羽当たり施設費を一千五百円とみても二万羽は三千万円を要し、その他、敷地費、運転資金を見込めば、もちろん若干の自己資金を拠出するとしても資金の需要は激しい。
    現行の貸付け限度は、個人対象として農業近代化資金二百万円(法人一千万円)、農林漁業金融公庫の豚鶏資金は、個人五百万円、法人一千万円が限度であり、時代の要請に適応できない。
    そのうえ、農業近代化資金は、知事特認として個人五百万円まで認めているが、これが活用されていないのではないかと思うがどうか。
    また、担保については評価が低いため、農家にはすでに担保切れのものが多く、改めて担保を要求されては、融資を拒否されたにひとしい。担保は融資対象物件に限り、あるいは農業信用基金制度をもつてこれを補充するにとどめることを原則とすべきである。
(四) 公害防止対策について
    養鶏の糞尿処理に当たり、その脱臭方法についてはすでに埼玉県、長野県等において、土壌脱臭に成功している。脱臭装置が完備すれば養鶏のみでなく、養豚、酪農を含めて、畜産振興に資するところが大きい。
    公害の解決が国の重要施策であり、かつ、総合農政のうえから畜産振興が唱えられるとき、政府は次の施策を講じ公害防止に積極的に取り組むべきであると思うがどうか。
 (イ) 脱臭についての試験研究費を大幅に増額すべきである。
 (ロ) 糞尿乾燥、脱臭施設が相当多額の設備費を要するため、卵生産原価えの影響が大きい。国の補助、融資等を行なうべきである。
(五) 税金の適正化について
    養鶏経営について、税の適正化を求める要望が強い。次の各項について、それぞれ伺いたい。
 (イ) 昭和四十三年度農業所得課税に当たり、養鶏一羽当たりの所得標準は大幅に増額された。
     この所得標準の内容、特にその算出基礎を明示されたい。また、各国税局別に過去五年間における養鶏一羽当たりの所得標準一覧を提示されたい。
 (ロ) 成鶏の減価償却は採卵用として、業務用に供する期間(耐用年数)を十八箇月としているが、実情に即し十二箇月とすべきである。
 (ハ) 産卵能力、飼料効率の向上が外国雛の輸入によつて行なわれてきたが、国内でも数社によつて、国産品種の研究開発が行なわれている。この開発研究又は試験研究費は次の(a)と(b)による減免が行なわれるのみであるのか。
  (a) 開発研究又は試験研究費は繰延資産として、その支出の効果のおよぶ期間を基礎として計算した金額の償却が認められる(法人税法第三十二条、政令第六十四条、第六十六条、第六十七条及び第百三十四条)
  (b) 試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(租税特別措置法第四十二条六)
      また、現に国内で研究開発を行なつているものは、具体的に(a)・(b)が適用されたか否か。
      なお、旧租税特別措置法第十二条・第四十四条など、この種の研究開発に適用するよう、改めて立法化すべきではないか。
 (ニ) 鶏舎用地を農地でなく宅地とみる課税は行なうべきではない。不動産登記事務取扱手続準則第百三十条に宅地が定義され、同第百二十二条に建物の定義がなされている。
     鶏舎は、ビニールで壁代わりにするところなどが多く、ここでいう建物とみなし、膨大な固定資産税、不動産取得税を課することは、養鶏経営に壊滅的打撃を与えている。これをやめて、鶏舎用地はあくまで農地としてみるべきである。
     また、国民に重大な影響のあるこの種課税の基礎が単なる事務取扱手続準則のごときで規程することは重大な疑義があるがどうか。

 右質問する。





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