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昭和四十四年七月二十八日提出
質問第一三号

 下山事件捜査記録等の公表に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十四年七月二十八日

提出者  松本善明

          衆議院議長 松田竹千代 殿




下山事件捜査記録等の公表に関する質問主意書


 下山事件は、昭和二十四年七月五日に発生して以来、既に二十年を経過したにもかかわらず、アメリカ占領軍による謀殺の疑いをもたれたまま、政府がその真相を明らかにすることなく今日にいたつている。しかも政府は、下山事件に関する検察警察当局の捜査記録が、自殺説を主張する者の手によつて恣意的に利用されているのを黙認している。
 下山事件の真相を明らかにすることは、下山国鉄総裁(当時)を殺した真犯人を明らかにするうえでも、また、アメリカ占領軍の日本占領当時おこなつた検察警察にたいする支配と介入の実態を明らかにするうえでも、全国民の切望するところであるので、以下の質問をする。

一 元警視庁捜査第一課主任関口由三は、株式会社評論新社が発行している月刊雑誌「新評」一九六九年七月号に、「下山元国鉄総裁“自殺”の証拠」と題する手記を発表した。
  この手記には、関口自身が「この事件の捜査の経過を、私の当時の日記をもとにして公開し、下山事件の真相を世に問おうという気持」(三一頁)で書くことにしたと述べているように、関口自身の捜査日記にもとづく捜査会議、検察警視庁両首脳会議その他捜査に必要な重要会議の内容の公開、関口自身が取り調べにあたつた十数名の参考人にたいする供述調書の引用など、捜査に関する記録の引用や要約が随所に記されている。また、この手記の中には同僚警察官の記録である「堀崎メモ」まで使用されている。
 1 関口由三が警察官として在職中知りえた捜査に関する記録を公表することは、地方公務員法第三十四条の規定に抵触するのではないか。抵触しないとすれば、その理由はなにか。
二 関口由三は、同手記の中で「当時事件に関係した先輩、同僚の了解も得て」(三一頁)発表すると述べており、また同手記を紹介した「サンデー毎日」昭和四十四年六月十五日号では、関口由三の談話として同人が「警視庁の了解も得られた」(五〇頁)と述べたことが記されている。
 1 これは事実か。
 2 事実であるとすれば、誰が了解を与えたか。
 3 このような了解ないし公表の許可を与えうる警察部内の責任者は誰か。
 4 前項の許可を与える法的根拠を示せ。
三 関口由三は、前掲の手記の中で「また幸い記録や資料が手許にあつた」(一〇二頁)と記し、捜査記録をうず高く積んだ写真を掲載している。
 1 このような捜査に関する記録や、警察官が在職中職権をもつて集収した物件が、個人の私物同様のあつかいで、退職した警察官の手もとに置くことは許されているか。
 2 警察官が警察から供与ないし貸与されたもの、および警察手帳等警察官の職権によつて捜査した内容が記入してあるものについては、その警察官が退職するさいは警察当局に返納するなどの規定があると考えるが、その関係する規定を全文示されたい。
四 下山事件は日本の政治社会にきわめて大きな影響を及ぼした大事件であり、これに関するすべての資料は、内閣が責任をもつて保管すべきものと考えるが、政府は、下山事件に関するどのような資料を、どのような方法で保管しているか。また、将来どのように保管しようとしているか、明らかにされたい。
五 下山事件の時効が間近に迫つた昭和三十九年六月二十六日の衆議院法務委員会において下山事件の資料の公表と捜査記録の提出を求められたのにたいして、当時の法務省竹内寿平刑事局長は「(全捜査の結果及び鑑定書を何らかの形で発表する用意は)東京地検当局に検討させているが結論は得ていない」という趣旨の答弁をしている。
 1 今日既に事件発生以来二十年を経過しているが、鑑定書の全文及び捜査に関する全記録を公表する考えはないか。
 2 公表する考えがあるとすれば、どの程度どのような方法で公表する考えか。
 3 公表しないとすれば、その理由はなにか。具体的に示されたい。

 右質問する。





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