質問本文情報
昭和四十六年一月十九日提出質問第一号
個人企業の税制に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和四十六年一月十九日
提出者 赤松 勇
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
個人企業の税制に関する質問主意書
さきに個人企業の税制に関する質問主意書を提出し、個人企業の税負担の軽減をはかるとともに、経営の近代化・合理化に資するため、青色申告者の勤労性所得を「事業主報酬」としてみとめること、このことによつて、勤労性所得には事業税を課さないこととし、さしあたり、零細な個人業者の生活費に事業税を課している苛酷な税制を改めるため、事業主控除を大幅に引き上げること及び後継者育成対策として、個人事業用資産について生前贈与特例を認めることをただしたが、その回答はきわめて冷淡なもので、中小企業振興対策を口にしながら、税制上はなんら配慮のないことを示していた。
なかでも、「個人企業の事業主報酬の創設」は全国中小企業関係諸団体の統一要望であり、通商産業省・中小企業庁の昭和四十六年度税制改正意見になつており、しかも昭和四十四年の総選挙にあたり、政府与党である自由民主党は、中小企業諸団体に「前向きの姿勢で善処する」と公約したというが、これに対し昭和四十六年度税制改正案では、「青色事業主特別経費準備金制度」で解決しようとしている。
この準備金制度では、次のような問題点があり、個人企業が「生業から企業」へ脱皮しようとする自助努力の芽をつみ、根本的な解決策とはならない。
青色事業主特別経費準備金制度の問題点として、次を明らかにしたい。
二 事業主報酬は法人企業とのバランスを解決するためのものであつて、単なる減税要求ではない。この準備金方式は、この税負担の公平論の本筋から離れている。この準備金方式で法人・個人の税負担の均衡がとれたと考えるか。
三 事業主報酬は企業課税の基本的なあり方を問題にしているのであつて、臨時的な租税特別措置を求めているものではない。政府は租税特別措置を整理したい方向であるから、逆行するではないか。
四 青色事業主特別経費準備金制度による減税額平年度百十五億円、初年度九十五億円と説明しているが、この制度は累積方式で一定の条件で取りくずしたときは、一時所得として課税する建前であるから、減税効果を減殺する。しかも、老後の生活保障を意味するならば、それは勤労性所得に対する税理論からみても、一時所得とするのは不可解であると思うがどうか。
五 この準備金方式では、勤労性所得に事業税がかかつている苛酷さは解決できない。三十六万円の事業主控除の性格と金額の理論的根拠は不可解である。これを問いたい。
六 又、この準備金方式は、小規模企業共済制度と競合する。むしろ老後保障ならば小規模企業共済制度の改善(掛金控除枠の拡大、共済金の退職所得扱い)によるべきではないか。
右質問する。