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昭和四十七年四月二十日提出
質問第八号

 報道機関の報道及び取材の自由に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年四月二十日

提出者  沖本泰幸

          衆議院議長 (注)田 中 殿




報道機関の報道及び取材の自由に関する質問主意書


 憲法第二十一条は表現の自由を保障している。そして最高裁判所は報道機関の報道及び取材の自由がこの表現の自由に含まれることを、つとに判示している。
 しかしながら、今回国家公務員法第百十一条との関係で、この報道機関の報道及び取材の自由について若干の疑義を生ずるようになつた。
 そこで、問題の焦点を特に取材の自由にしぼつた上で、次の事項につき政府の見解を問う。

一 報道機関が取材を行なう場合、国家公務員法第百十一条との関係で問題となるのは「取材の対象」及び「取材の方法」である。
  最初に、取材の対象に関して質問する。憲法第二十一条は表現の自由を保障しているが、これは、民主主義政治の下において、国政に関する国民の知る権利に奉仕するための報道機関の報道及び取材の自由を保障するものである。
  ところが、具体的に、報道機関が国政に関する報道のための取材をしようとする場合において、政府が「表現の自由も公共福祉による制限がある」との理由によつて、その取材対象について制限を加えるとするならば、国民は、国政の正確な動きを知ることができず、国政についての国民の知る権利は封殺され、民主政治の根幹がゆさぶられることになる。
  これはゆゆしき一大事である。
  しかも、この取材対象の制限が「秘密」という名目で随意に各官庁担当官が指定できることに起因するのが現状である事実にかんがみれば、その弊害はさらに深刻である。
  ゆえに、政府は、報道機関が取材する場合に、その取材対象について絶対に制限を加えるべきではないと考える。取材対象につき制限を加えることこそ、逆に、国政に関する国民の知る権利を封殺するものであつて、公共の福祉に反するものである。
  もちろん、取材対象には長期的観点からみて、短期的には公表しないほうが国益に合する場合のものもあろう。しかし、これは報道機関の自主的な判断に委ねるべきではないか。
二 次に、取材の方法について質問する。国家公務員法第百十一条は「そそのかし」を処罰対象にしているが、もしも、これを機械的に適用すれば、報道機関の取材方法(取材行為)はすべて新たに決意を生ぜしめるに足りる慫慂行為として、「そそのかし」となり、処罰対象となろう。
  これは、取材対象の制限とともに、国政に関する国民の知る権利を全く封殺するものであつて、まさに民主政治の危機、崩壊に通ずるものである。
  ゆえに、国家公務員法第百十一条の規定は、憲法の根本原理である民主政治の維持のためにも、報道機関の取材行為について適用すべきではないと考えるが、この点政府はどのように考えているのか。

 右質問する。





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